警視庁などの合同捜査本部は20日、盗品と知りながら銅線ケーブルを買い取ったとして、群馬県内の金属買い取り会社の社長を逮捕した。NHKの他、複数のメディアが報じている。
警視庁は、金属買い取り業者「祥瑞産業」代表で中国籍の張延強容疑者(37)を盗品等有償譲り受けと組織犯罪処罰法違反の疑いで逮捕し、20日発表した。「買い取りは一切していない」と容疑を否認している。
警視庁によると去年5月、カンボジア人の窃盗グループが群馬県藤岡市の太陽光発電施設から盗んだ送電用の銅線ケーブルおよそ3900メートルを、盗品と知りながら、143万円で買い取った疑いが持たれている。
捜査関係者によると、この事件は外国人グループによる銅線ケーブルの窃盗事件に関連しているという。
また神戸新聞によると同日、兵庫県で亜鉛と銅の合金「真ちゅう」を盗品であると知りながら買い取ったとして、兵庫県警国際捜査課と捜査3課、姫路署などが、盗品等有償譲り受けと組織犯罪処罰法違反の疑いで、いずれも中国籍で、金属買い取り会社役員の男、女社員を逮捕した。
金属窃盗事件は近年急増しており、背景には令和2年以降、金属スクラップの価格が上昇、特に銅の価格が2倍近くまで上昇していること、また盗んだ金属スクラップは処分・売却が容易であり、流通を防ぐのは困難であることがあげられている。
太陽光発電施設でも銅線ケーブル盗難被害が深刻で、損害保険会社の保険金支払額が膨らみ、保険契約の持続的な運営が困難な状況に至るほどだという。
産経新聞によると、昨年5月、露木康浩警視庁長官(当時)は、太陽光発電施設で相次いで銅線が盗まれた事件を例に挙げ、「外国人グループが複数の県で犯行を重ね、被害品をまとめて買い取り業者に売却している実態がある。不法滞在外国人の収入源になっていることがうかがわれ、治安上も大きな課題だ」と警戒を呼びかけていた。
警察庁は、金属の買い取り業者に対し、取り引きの際に顔写真付きの書類で本人確認を義務づけるなど、規制を強化する新たな法律を整備する方針を固めている。
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