アメリカのドナルド・トランプ大統領が鉄鋼製品に25%の関税を課す方針を示したことを受け、日本鉄鋼連盟の今井正会長は、保護主義的な動きが広がると中国製品の過剰輸出が他国に流れ込み、鉄鋼市場の低迷が助長されるとの懸念を示した。今井会長は、日本政府と協力して対策を講じる必要性を強調した。
トランプ大統領は、鉄鋼製品とアルミニウムに対して3月12日から25%の関税を課す方針を明らかにしている。さらに、自動車にも25%の関税を検討しており、4月2日からの実施を目指している。
25日に日本の大手メディア各社が行った取材で、今井会長は「アメリカと直接の関係はないが、保護主義的な動きが広がると、中国の過剰生産と過剰輸出によって鉄鋼市場の低迷が助長されることが懸念される。日本の市場が被害を受けないよう、対策を急がなければならない」と述べた。また、自動車への25%の関税が日本からアメリカへの輸出に与える影響についても、「自動車の輸出量を鉄鋼需要に換算すると大きな影響がある。鉄鋼製品そのものの輸出は抑えられているが、自動車の影響が加わると数量面での影響が大きいので懸念している」と警戒感を示した。
同日、今井会長は経済産業大臣の武藤容治氏と会談し、鉄鋼およびアルミニウム製品への関税問題について協議した。また、日本自動車工業会(JAMA)の片山正則会長も、政府に対し日本の自動車メーカーを保護するための支援を求めている。片山会長は、トランプ政権が日本、メキシコ、カナダからの自動車輸入に高率の関税を課すことで、経済に悪影響を及ぼす可能性があると懸念を表明した。
日本政府と産業界は、アメリカの関税方針がもたらす影響を最小限に抑えるため、引き続き協力して対応策を検討していく方針である。
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