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G20財務相会合 保護主義への懸念表明も共同声明採択に至らず

2025/02/28
更新: 2025/02/28

南アフリカのケープタウンで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議が2025年2月27日に閉幕した。会議では保護主義の台頭が経済成長を妨げるという懸念が示されたが、共同声明の採択には至らなかった。

議題では、グローバル経済の見通しや多国間協力の重要性について議論が交わされた。南アフリカのラマポーザ大統領は開会の挨拶で、「多国間主義の衰退が世界の成長と安定に脅威をもたらしている」と警告した。

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は、世界経済の成長率が2025年と2026年ともに3.3%と予測され、これは歴史的平均を大きく下回ると指摘した。また、保護主義や貿易障壁、政治的不確実性が経済成長を脅かし、生産コストとインフレを上昇させるとの懸念も表明された。

しかし、会議には米国のベッセント財務長官やルビオ国務長官が欠席するなど、主要国の代表者の不参加が目立った。これは、トランプ大統領の再選後の政策変更や、G20に対する批判的な姿勢が背景にあるとみられる。

英国のリーブス財務相は、国防支出の増強が経済成長の基盤であると主張し、国家安全保障の重要性を強調した。

植田日銀総裁は、トランプ米政権の関税政策を含めた今後の政策展開や、それに対する他国の対応について「まだ不確実なところが非常に多い」と指摘した。この不確実性は「いろいろな国の参加者が共有していた」とも述べ、G20参加国の共通認識であることを示唆した。

植田総裁は、これらの不確実性が世界経済やマーケットに与える影響、そしてそれらを通じた日本経済や物価、見通しへの影響を見極めた上で、金融政策の判断につなげていく方針を示した。

今回の会議では、気候変動対策や途上国の債務問題、格差是正など、重要な課題について合意形成が困難であったことが浮き彫りとなり、共同声明の採択に至らなかったことが、G20の結束力に課題を残す結果となった。

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。