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トランプ大統領の初閣議 5つの重要なポイント

2025/03/02
更新: 2025/03/02

ドナルド・トランプ米大統領は2月26日、ホワイトハウスで第2次政権初の閣議を開き、政府縮小の取り組み、ウクライナのレアアース取引、台湾情勢など幅広い話題について発言した。

米住宅都市開発省のスコット・ターナー長官による「祈り」で会議は始まった。ホワイトハウスが管理する新しい記者団も紹介された。記者団はトランプ大統領が記者の質問に答える間、1時間以上部屋に滞在した。

トランプ大統領は、複数の政府機関での支出削減と人員削減の継続的な取り組み、ウクライナ戦争終結のための交渉の状況、主要貿易相手国に対する関税継続の計画、中国に対するワシントンの姿勢、そして裕福なビザ申請者向けの新しい「ゴールドカード」について議論した。

以下はトランプ大統領初閣議からの5つの要点だ。

政府縮小の取り組み

政府の効率化の取り組みがメディアの注目を集めているイーロン・マスク氏も閣議に出席し自身の取り組みについて議論した。

「我々は迅速に行動する必要がある」とマスク氏は閣僚とレポーターに語り、2026年に1兆ドルの債務削減を達成するには、今から9月末までに1日40億ドルの節約が必要だと述べた。マスク氏は、「必ずやり遂げてみせる」と力強く宣言した。

また、「人事管理局が連邦職員に送ったメールが誤解を招いたようだ」として、マスク氏は次のように説明した。「そのメールは単に『先週の仕事の成果を5つ、箇条書きで教えてください』と尋ねただけなのに、多くの職員が『これは業績評価だ』と勘違いしてしまったのです」

マスク氏は冗談めかしてこう言った。「このメール送信は『生存確認』のためです。『まだ生きているか?このメールに返事できるか?』というわけです」。この発言は笑いを誘った。

さらに同氏は真面目な口調で続けた。「我々が調査しているのは、政府の給与名簿に載っている人の中に、すでに亡くなっている人や架空の人物がいるのではないかということです。そういった理由で返信できない人がいるのではないかと考えています」

ホワイトハウスの発表によると、2月25日の時点で約100万人の連邦職員がこのメールに返信したという。

マスク氏は具体的な人員削減の数字は明かさなかったが、「重要な仕事をしっかりと遂行している人々は全て維持したい」と述べ、無駄な人員の整理を示唆した。

トランプ大統領は、環境保護庁の人員を大幅に削減する計画を明らかにした。環境保護庁のゼルディン長官は職員の65%を減らす方針だという。一方で、国務省の人員削減については慎重な姿勢を示した。

政府効率化省(DOGE)の取り組みについて、トランプ氏は一定の成果を認めつつも、国務省のような重要機関での削減は難しいと述べた。特に、ロシア・ウクライナ戦争の終結交渉が進行中であることを理由に挙げた。

「多くの国が絡む問題だ。誰を解雇するかは慎重に決めねばならない」とトランプ氏は語った。

さらに、この会議でマスク氏は、DOGEの失策を認めた。米国際開発庁(USAID)の予算を削った際に、意図せずエボラ対策の資金まで減らしてしまったのだという。「予算はすぐに復活させた」と釈明している。

ウクライナの安全保障、アメリカは保証せず

トランプ大統領は、2月28日にゼレンスキー・ウクライナ大統領がホワイトハウスを訪問する目的は、ウクライナのレアアース鉱物へのアクセス権をアメリカに与える協定の調印だと述べた。

この取引はロシアの侵攻に苦しむウクライナに経済的恩恵をもたらす可能性がある。しかし、トランプ氏によれば、ウクライナ側の要望にもかかわらず、安全保障の保証は含まれていないという。

トランプ大統領は「安全保障の保証はほとんど行わない」と断言。「それは欧州の仕事だ」と付け加えた。

ただし、アメリカがウクライナの鉱物資源に関与することで、間接的な安全保障効果はあるとトランプ氏は主張している。「我々の関係者がウクライナにいれば、誰も手出しできなくなる。一種の自動的な安全保障が得られる」というわけだ。

この発言は、ウクライナへの直接的な軍事支援には消極的だが、経済的な関与を通じて影響力を維持したいというアメリカの姿勢を示唆している。

トランプ氏は、イギリスとフランスがウクライナへの平和維持部隊派遣に賛成していることを歓迎すると発言した。

一方で、ロシアはこの提案に強く反対の姿勢を示している。

ロシアのラブロフ外相は2月26日、カタールを訪問中に「我々はウクライナへの平和維持部隊派遣のいかなる案も検討する余地はない」と明言した。

さらにラブロフ外相は、トランプ大統領の発言に触れ、「トランプ氏は平和維持部隊の派遣には両当事者、つまりロシアとウクライナの同意が必要だと述べたが、我々に相談もなく勝手に話を進めている」と批判的なコメントを述べた。

トランプ氏はロシアとウクライナの3年にわたる紛争の終結を求めている。今月初めにサウジアラビアで行われたアメリカとロシアの会談により、停戦に向けてさらに話し合いを続けることで合意した。トランプ政権は、今後の協議にウクライナも参加すると述べている。

ゼレンスキー氏はウクライナのNATO加盟を求めてきたが、トランプ政権はその可能性に反対している。

トランプ氏は閣議の中で、ゼレンスキー大統領はロシアに譲歩せざるを得ないだろうと述べた。

超党派の議会調査局によると、戦争開始以来、議会はウクライナに1742億ドルを支援として割り当てている。

台湾問題について

ある記者がトランプ大統領に、「共産主義中国が台湾を武力で奪うことは大統領任期中には絶対にないという方針なのか」と質問した。

これに対しトランプ氏は、「そういった問題には一切コメントしない。自分をそのような立場に置きたくないからだ」と答えた。さらに「仮に何か言うとしても、あなたに話すことはないだろう。おそらくこの部屋にいる側近たちに話すだろう」と付け加えた。

トランプ氏は中国を「競争相手」と表現した。

また、中国企業の投資について「我々は彼らのアメリカへの投資を歓迎している」と述べ、中国からの投資を阻止しているという報道を否定した。

「中国企業がアメリカに投資することは良いことだ。実際、多くの資金が流入している。我々も中国に投資するだろう」とトランプ氏は語った。

トランプ氏の発言は、外国の敵対勢力、特に中国共産党(中共)政権によるアメリカの「資本、技術、知識」の搾取を抑制するための新規則の導入を政権に指示する覚書に署名した直後になされた。

この覚書は、米外国投資委員会(CFIUS)という省庁間委員会を用いて、技術、重要インフラ、医療、農業、エネルギー、原材料などのアメリカの重要分野における中国の投資を制限すると述べている。

「ゴールドカード」ビザが「飛ぶように売れる」可能性

閣議の中で、トランプ氏は国の増大する債務問題を解決するための新提案についてさらに詳しく説明した。

最近トランプ氏は、裕福な移民に対して、アメリカへの多額の投資と引き換えに「ゴールドカード」ビザを販売することを提案した。このビザを手に入れるには、アメリカに500万ドル(約7億5千万円)以上の投資をする必要がある。

トランプ氏は記者団に対し、「どうなるか分からないが、もしかしたら飛ぶように売れるかもしれない」と述べた。

米国企業が「ゴールドカード」を購入し、それを採用プロセスの一部として使用できるようになるとトランプ氏は述べた。同氏は、アップルのような企業がハーバード大学やウォートンビジネススクールなどの米国トップ校を卒業した外国人学生を雇用したいと考えていると語った。

「彼らは人々を雇用し、人々を連れてくることになる。そして企業も」

一方、ハワード・ラトニック商務長官は既存の投資移民制度EB-5の問題点を指摘した。これまでは外国人が100万ドルを米国事業に投資すれば永住権を得られたが、多くの投資先が怪しく、失敗に終わっていたという。

そこでラトニック長官は「EB-5制度を改革する」と宣言。ノエム国土安全保障長官と協力して、新たな投資移民制度を作ると述べた。

ラトニック氏は次のように説明した。「投資家たちは500万ドルを支払えば、まず商務省からライセンス許可を得る。その後、EB-5投資移民プログラムに基づいて正式な投資を行うことになる」

また、財務長官のスコット・ベッセント氏もこのプログラムの見直しに深く関わると述べた。

ラトニック氏は続けて、「スコットと私が協力すれば、このプログラムを最も効果的に再設計できる。この『ゴールド』グリーンカードを20万枚発行すれば、国の借金返済のために1兆ドルを調達できる計算だ」と述べた。

最後にラトニック氏はこう断言した。「トランプ大統領の下で、我々は確実に予算のバランスを取り、国の借金を返済する」

「関税を止めるつもりはない」

トランプ大統領は、最近の不法入国者数の減少にもかかわらず、カナダとメキシコへの関税を続ける方針を示した。

「関税を止めるつもりはない」とトランプ氏は断言した。「国境を越えて流入するフェンタニルで多くの命が失われている」

大統領就任直後、トランプ氏は不法移民と麻薬密輸対策として、メキシコとカナダに25%の高率関税を課すと発表した。両国首脳が対策を約束したため、一時的に関税を保留したが、その期限は30日間だった。

国境越えの減少については評価しつつも、トランプ氏はこれを自身の政権による国土安全保障省の政策変更の成果だと主張した。

「これも我々の功績だ。ほとんど我々のおかげだ」と同氏は述べた。

フェンタニルの被害は深刻だ。既に数百万人の命が失われている。この薬物は主に中国から来て、メキシコとカナダを経由してアメリカに入ってくる。

トランプ氏は、メキシコとカナダに対する関税を4月2日から再び課すと発表した。さらに、EUからの自動車やその他の輸入品全てに25%の関税をかけると明言した。

トランプ氏によれば、EUはアメリカからの輸入品、特に自動車や農産物に厳しい制限をかけているという。しかし他国が報復関税を課してもアメリカの利益は損なわれないと主張している。

むしろ、欧州からの輸入を完全に止めれば良いと述べ、EUとの貿易戦争になってもアメリカが勝つと豪語した。

「アメリカは皆が欲しがる金の壷だ。相手が報復しても、それが成功することはあり得ない」とトランプ氏は強気の姿勢を示した。

Emel Akan
エポックタイムズのホワイトハウス上級特派員、バイデン政権担当記者。トランプ政権時は経済政策を担当。以前はJPモルガンの金融部門に勤務。ジョージタウン大学で経営学の修士号を取得している。
大紀元のワシントン特派員。 ワシントン政治を中心に、政治とスポーツ、スポーツと文化の交差点についても取材・報道を行っている。 過去には、Mediaiteのライターや、Jewish News Syndicateのワシントン特派員を務めた。 また、The Washington Examinerにも寄稿したことある。 ジョージ・ワシントン大学卒業。
エポック・タイムズで国家政治、航空宇宙、航空業界を担当する記者である。以前は「サラソタ・ヘラルド・トリビューン」でスポーツ、地域政治、速報ニュースを担当していた。