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【調査】露ウ戦争終結へ向けたトランプ氏の取り組みは高支持も ゼレンスキー氏には意見が分かれる

2025/03/02
更新: 2025/03/03

トランプ政権がロシア・ウクライナ戦争の終結に向けた合意を仲介しようとする中、大紀元の新たな世論調査では、これらの外交的取り組みに対する読者から広く支持されていることが分かった。

この調査は、1万8800人以上の読者からの回答を収集したもので、大多数がトランプ大統領の外交政策、NATO同盟国への負担増要求、そしてロシアのプーチン大統領との交渉を支持していることを示している。しかし、特にウクライナのゼレンスキー大統領に関する政策については、意見が分かれる傾向が見られた。なお、この調査は、2月28日に大統領執務室での激しい口論が発生する数日前に実施された。

高リスクの外交と「アメリカ第一」主義

トランプ氏の外交政策は、1期目も2期目も、従来の外交とは一線を画す取引重視の姿勢を貫いており、「アメリカ第一」ドクトリン(政治、外交、軍事などにおける基本原則)に基づいている。この方針では、伝統的な外交や多国間同盟よりも、アメリカの経済的・安全保障上の利益を優先 させることが特徴であり、これまでの国際秩序を大胆に覆す姿勢を取ってきた。

2期目政権では、こうした取引重視の戦略をさらに強化し、同盟国には厳しく、敵対国には容赦しない姿勢を鮮明にしている。イランに対する「最大限の圧力」キャンペーンでは、イランが核兵器を取得するのを阻止するための圧力を強めている。同時に、NATO加盟国に防衛費負担の引き上げを求める動きを加速させ、「公平な負担を果たさなければ、アメリカのロシアへの防衛支援を失うことになる」と欧州諸国に警告している。

さらに、トランプ氏は拡張主義的な発言も復活させており、グリーンランドの併合構想を再提起したり、カナダを「第51番目の州」として組み込む可能性を示唆したり、中国(共産党)の影響力を抑えなければパナマ運河を奪還すると宣言するなど、物議を醸している。また、彼の関税政策は、同盟国・敵対国を問わず適用され、アメリカの9180億ドルの貿易赤字削減を狙った重要政策の一環となっている。

一方、ウクライナ問題に関しては、米国の戦略を劇的に転換 し、プーチン氏と直接交渉して戦争終結を目指す姿勢を打ち出した。さらに、ロシアとの経済協力を提案し、2014年のクリミア併合を理由にG7から除外されたモスクワを再びG7に復帰させることを示唆している。この動きを支持する人々は「現実的な外交の再編成」と評価する一方で、批判派は「好戦的な敵国への危険な譲歩だ」と警戒を強めている。

大紀元の世論調査によると、トランプ政権の外交政策に対する支持率は 81% に達し、64%が「強く支持」17%が「やや支持」 すると回答した。

一方で、反対意見は16%(「強く反対」12%、「やや反対」4%) にとどまり、3%が「中立」と回答。圧倒的な支持を集める一方で、一部の読者は依然として慎重な姿勢を示していることがうかがえる。

ドナルド・トランプ大統領は2025年2月28日、ワシントンのホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。トランプ大統領によると、合意によりアメリカはウクライナに提供した援助を回収し、ウクライナの経済を支援できるようになるという(SAUL LOEB/AFP via Getty Images)

NATO同盟国とウクライナへの資金援助

第二次世界大戦後、ソ連の拡大に対抗するために設立されたNATOは、現在も世界有数の防衛同盟である。トランプ氏は、加盟国がGDPの2%という推奨される防衛支出を満たしていないことを繰り返し批判し、アメリカの納税者が同盟全体の安全保障負担を不公平に背負っていると主張している。

トランプ氏は、加盟国に対し防衛費の負担を守るよう求めるだけでなく、欧州のNATO加盟国がウクライナに対してさらなる支援を提供すべきであると主張している。同氏の推計によれば、欧州諸国はウクライナに約1千億ドル拠出しているのに対し、アメリカは3千億ドルを拠出しているという。トランプ大統領は、ヨーロッパのNATO加盟国は公平な競争条件を整えるために資金を増やすべきであると主張している。

2月21日、トランプ大統領は「我々は平等にする必要があると考えている。つまり、彼らはもっと多くの資金を拠出しなければならない。なぜなら、それはヨーロッパに大きな影響を及ぼすからだ。我々には広大な大西洋があるため、アメリカにとっての影響はそれほど大きくない」と語った。

英語大紀元の世論調査によると、NATOがウクライナへの支援を増やすことに対し、88%が賛成している。そのうち76%が強く賛成し、12%がやや賛成している。一方、6%が反対し、6%が中立の立場を取っている。全体的に強い支持があるものの、一部には依然としてためらいが残っていることがうかがえる。

2025年2月28日、ウクライナのジトーミル地方にある露天掘りチタン鉱山で稼働しているドラッグライン掘削機を上空から撮影(Roman Pilipey/AFP via Getty Images)

ウクライナの資源を活用した再建支援

トランプ氏は、ロシアの侵攻開始から3年間、ウクライナの防衛のために用いられたアメリカの納税者資金の多さを批判し、ウクライナが何らかの対価を提示すべきだと主張している。

彼は、ウクライナが保有する希土類など、航空宇宙、防衛、原子力産業にとって極めて重要な資源へのアクセスをアメリカに認めるという経済協定の可能性を、前政権下で送られたアメリカの援助に対するウクライナからの返済策として位置付けている。

ゼレンスキー氏は、そのような合意にはアメリカの安全保障の保証が必要であると強調しており、ウクライナはこれを極めて重要視している。しかし、トランプ氏はその保証を与えることに消極的であり、欧州が主導すべきだと主張している。トランプ氏は、アメリカがウクライナの鉱物資源分野に進出することで、ロシアの侵略を抑止し、事実上「自動的な安全保障」を提供できると論じている。

しかしながら、協定に関する交渉は、少なくとも一時的には行き詰っているようだ。ゼレンスキー氏は2月28日にワシントンを訪れ、トランプ氏と関係者らと会談したが、大統領執務室での緊迫したやり取りとなった。その後、トランプ氏は、アメリカの関与によってウクライナが大きな優位性を得ると判断し、「ゼレンスキー氏は平和に向けた準備ができていない」との声明を発表した。

トランプ氏は、戦争の平和的解決を望んでいると付け加え、ゼレンスキー氏に「平和への準備が整ったときに」さらなる協議のために戻るよう求めた。

これに先立ち、財務長官スコット・ベッセント氏は、アメリカとウクライナ間の経済協定を、アメリカの納税者の利益を保護し、ウクライナの戦後復興を促進するものと説明した。協定により、両国が共同で管理する再建基金が創設され、ウクライナは国有天然資源から得られる将来の収益の50%を拠出することとなる。

大紀元の世論調査によれば、回答者の82%がトランプ氏のウクライナ資源を活用して平和を追求する案に賛成しており、その内訳は66%が強く賛成、16%がやや賛成である。一方、反対は13%と比較的低く、中立は5%に留まっており、全体的に提案に対して好意的な見方が示されている。

2025年2月19日、ルーマニアのスマルダンにあるスマルダン訓練場で演習中のNATO軍(Daniel Mihailescu/AFP via Getty Images)

プーチン氏との直接交渉

トランプ氏のロシア・ウクライナ戦争終結に向けた戦略は、過去のアメリカ政策やウクライナ・欧州諸国の全面的な関与よりも、迅速な解決を優先し、プーチン氏との直接かつ二国間の交渉に依拠している。

交渉において、トランプ氏は自身の交渉術の経験を活かし、プーチン氏に対してお世辞、経済的圧力、制裁を維持しながらもプーチン大統領を「賢明」かつ「抜け目ない」人物と評している。またトランプ氏は、ウクライナとの間で成立する可能性のある鉱物資源に関する合意を、ウクライナに対する代替的な安全保障措置として位置付け、ウクライナ地域におけるアメリカの影響力を強化しようとしている。

批判者は、トランプ氏のこのアプローチがプーチン氏を後押しし、ウクライナの主権を損ない、欧州の利益を軽視する危険があると指摘する。一方、支持者は、トランプ氏の予測不可能な交渉術を活かした、実利を重視する現実的な戦略だと評価している。

プーチン氏との平和交渉に対するトランプ氏の対応は支持率76%(うち54%が強く支持、22%がやや支持)を得ているが、18%が反対し6%が中立であるため、他の政策と比べ意見が分かれている様相である。

 同様に、トランプ氏が推進する米露関係再建は77%の支持(52%が強く、25%がやや支持)を得ており、反対は16%(11%が強く、5%がやや反対)、中立は7%に留まっている。

ロシアのプーチン大統領は、2025年2月18日、ビデオ会議で政府関係者との会議を主催(Mikhail Metzel/Pool/AFP via Getty Images)

ゼレンスキー氏への批判と交渉からの排除

トランプ氏は、ゼレンスキー氏がロシア・ウクライナ戦争への対応において紛争を長引かせたとして、その指導力に疑問を呈し、アメリカの援助を利用しながら成果を挙げられていないと強く非難している。この立場は、ウクライナの戦略的重要性に対するトランプ氏の懐疑と、プーチン氏との直接交渉を推進してウクライナの役割を最小限に留めようとする姿勢と一致している。

トランプ氏は、ゼレンスキー氏を「世界最高のセールスマン」と揶揄し、1千億ドルを手にしても戦争を終結できないと述べた。かつてはゼレンスキー氏を「独裁者」と呼んだが、その発言は後に撤回された。また、トランプ氏はゼレンスキー氏の将来の平和交渉における重要性を軽視し、ウクライナの指導者が3年間の紛争を経ても進展を見せられていないと主張する。一方で、トランプ氏自身がプーチン氏との「非常に良好な交渉」を行ったことを強調している。

2月28日に、トランプ氏は緊迫したやり取りの末、ゼレンスキー氏との交渉を途中で打ち切った。その際、トランプ氏はゼレンスキー氏に対し「第三次世界大戦をギャンブルにしている」と非難した。ウクライナの指導者は、重要鉱物資源に関する合意に署名することなくホワイトハウスを去ったが、その合意の将来は依然として不透明である。

世論調査の結果、過半数の回答者はトランプ氏のゼレンスキー氏批判を支持しているが、その支持率は62%(うち41%が強く、21%がやや支持)にとどまり、反対は27%(19%が強く、8%がやや反対)であるため、他の外交政策に比べ意見が割れている。

さらに、ゼレンスキー氏を交渉から排除することについては、支持率50%、反対32%、中立18%となっており、ウクライナを平和プロセスから締め出すことに対する懸念がより強く表れている。

書き込み回答 停戦交渉の主要優先事項

読者は、停戦交渉において最も重要と考える事項について自由記述で意見を寄せている。最も重視されるのは、ウクライナのNATO加盟を目指す意向と、将来の紛争を防ぐための安全保障の保証である。中には、NATOの拡大が戦争を引き起こしたと非難し、ウクライナの中立を主張する意見がある一方、さらなるロシアの侵略を抑止するためにはNATO加盟が不可欠だとする意見もある。

占領地域の状況も大きな懸念事項として挙げられている。多くの回答者は、ウクライナが2014年以来失った全領土を取り戻すべきだと主張するが、交渉による解決や、ロシア語圏地域に住民投票を実施すべきだとの意見もある。また、非武装の緩衝地帯や国際的な監視体制の設置を求める意見もある一方、領土をロシアに譲渡することは危険な先例となると警告する声もある。

また、包括的な平和協定の締結も優先事項であり、拘束力のある安全保障の約束、欧州主導の平和維持活動、そして敵対行為の再発を防ぐための厳格な実施措置が求められている。多くの回答者は、命を救うためにも戦争を直ちに停止すべきだと強調するが、停戦を即時実施すべきか、あるいはより広範な条件に結び付けるべきかについては意見が分かれている。

財政的な説明責任と経済の安定も重視されている。国際援助の厳格な監視、返済計画、または欧州主導の再建を求める意見がある一方で、腐敗を懸念し、アメリカが資金提供を停止すべきだとする意見もある。一部の強い意見では、アメリカの援助を完全に停止すべきだとされる。援助が戦争を長引かせ、国内の必要な資源が本来の用途に回らなくなると主張している。

最後に、少数ながら注目すべき意見として、ウクライナの政治的将来に焦点を当て、新たな選挙を実施して正当な統治と透明性を確保すべきだという意見が挙げられている。これらの反応は、安全保障、主権、国際的関与に関する鋭い対立を反映しており、持続可能な停戦の達成の複雑さを物語っている。

全体として、英語大紀元の世論調査は、ロシア・ウクライナ戦争の解決に向けたトランプ氏のアプローチに対して強い支持があることを示しているが、一方で、ゼレンスキー氏の交渉排除といった物議を醸す政策に対しては、より高い反対や中立の意見が見られ、依然として不透明な状況が続いている。

ウクライナ軍第43独立機械化旅団の砲手が、2024年4月21日、ハリコフ地域でロシア軍の陣地に向けて155mm自走榴弾砲2C22を発射している(Anatolii Stepanov/AFP via Getty Images)

 

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。