自民党の治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会(会長:高市早苗前経済安全保障担当大臣)は3月3日夕方、総理大臣官邸で石破茂総理大臣に対して、SNSを悪用した詐欺被害防止のため、新たな捜査手法の導入を求める提言を手渡した。
提言では、警察が管理する架空名義の口座を犯罪グループに利用させ、その取引状況を把握することで、検挙や被害金の回収につなげる新たな捜査手法の導入を求めている。これにより、SNSを通じた詐欺の手口を解明し、被害拡大を防止する狙いがある。
さらに、金融機関間での情報共有を促進し、不正な取引が検知された際には、迅速に口座を凍結できる枠組みの構築も提案している。これにより、詐欺被害の拡大を未然に防ぐことが期待される。
また、詐欺に関連するショートメッセージやメールを、通信事業者が遮断できるよう、法改正を含めた検討も必要と指摘している。これにより、利用者への詐欺情報の拡散を抑制し、被害防止につなげることが狙いである。
これらの提言は、SNSを利用した詐欺が増加する中で、被害者を守るための新たな対策として、注目されている。今後、政府と関係機関が連携し、具体的な施策の実現に向けた議論が進められることが期待される。
被害者の7割が50代以上
2024年におけるSNSを悪用した詐欺被害は、前年から大幅に増加し、深刻な状況となっている。警察庁の発表によれば、2024年の特殊詐欺全体の被害額は、約722億円に達し、過去最悪を記録した。特に、SNS型の投資詐欺とロマンス詐欺の被害額は、約1268億円に上り、前年から約3倍に増加した。これらの被害額は、1日当たり約3億5千万円に相当する。
SNS型投資詐欺の手口としては、著名人を装った偽の広告で投資話に誘導し、金銭をだまし取るケースが多発している。また、SNS型ロマンス詐欺では、SNS上で恋愛感情を利用して、金銭を要求する手口が見られる。被害者の約70%が50代以上であり、高齢者が特に狙われている。
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