ホワイトハウス当局者は3月3日、米政府がウクライナへの支援を一時停止し、見直していることを明らかにした。
同氏は「大統領は平和を最優先にしている。我々のパートナーにも同じ目標に取り組んでもらう必要がある。支援を一時停止し、見直すことで、それが問題解決に貢献しているかを確認する」と述べた。
2022年にロシアとウクライナの戦争が勃発して以来、アメリカは少なくとも1750億ドル(約26兆円)をウクライナに提供してきた。
ゼレンスキー氏との対立で米ウ協定が決裂
支援停止の決定は2月28日にゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会談が決裂し、鉱物資源協定が破談した直後に発表された。
「ゼレンスキー氏はもっと感謝の意を示すべきだ。この国(米国)は、どんな状況でも彼らを支えてきた」とトランプ氏は3月3日、ホワイトハウスで語った。
「米国はウクライナに対し、ヨーロッパ以上の支援を行ってきた。本来ならヨーロッパがもっと負担すべきだ」
また、今後の支援削減の可能性について「今ここで答えても、オーバルオフィスに戻った瞬間に状況が変わっているかもしれない」と明言を避けた。
数時間後、ホワイトハウスは「アメリカのウクライナ支援を一時停止し、見直している」ことを正式に確認した。
米副大統領「ウクライナの安全保障には経済的な利益が必要」
3月3日、JD・ヴァンス米副大統領はFOXニュースのインタビューで、ウクライナにとって最善の安全保障は「米国がウクライナの将来に経済的な利益を見出すことだ」と語った。
「この紛争を解決に導く唯一の現実的な道は、トランプ大統領の戦略だ。ゼレンスキー氏とプーチン氏の双方に、それに従うことを求める」とヴァンス氏は述べた。
ゼレンスキー氏、停戦に向けて欧州と協議
ゼレンスキー氏は週末、イギリスのキア・スターマー首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と会談し、停戦への道を探った。
スターマー氏とマクロン氏は、停戦合意が成立した場合にその履行を支援することを約束した。
「我々の基本方針は、防衛態勢を維持しながら適切な外交の条件を整え、できるだけ早く戦争を終わらせることだ。ウクライナには公正な平和が必要であり、終わりの見えない戦争ではない」とゼレンスキー氏は3月5日の国民向け演説で語った。
また、ロシアを紛争の継続要因として非難し、「明確な安全保障の保証がない限り、戦争を続けているのはロシアだ」と述べた。
3月2日の首脳会談後、ゼレンスキー氏は記者団に対し「戦争終結はまだ先だ」と発言した。
トランプ氏、ゼレンスキー氏の発言を危険視
しかし、トランプ氏はゼレンスキー氏の発言を強く批判し、「これはゼレンスキー氏が最も言ってはならない発言だ。アメリカはこれ以上黙ってはいられない!」と自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
「ゼレンスキー氏は、アメリカの支援がある限り和平には関心がないと言っているようなものだ。ロシアに対する強い立場を示す上でも、あまり良い発言とは言えない。彼は何を考えているのか?」
ゼレンスキー氏、トランプ氏の批判に和解の姿勢を示す
ゼレンスキー氏はその後、融和的な姿勢を示した。
3月3日、Xに「我々は引き続きパートナー国と協力を続ける。すでに交渉を行い、今後さらなる取り組みが行われる予定だ」と投稿した。
「戦争は一刻も早く終わるべきだ。なぜなら、ウクライナの町や都市が破壊され、多くの人命が失われているからだ」
また、「戦争を終結させ、確実な安全保障を確立する必要がある。我々はアメリカやヨーロッパのパートナーと協力し、平和に向けた道筋にアメリカの支援を期待している」と述べた。
米政府、戦争終結に向けた交渉を優先
戦闘は依然として激化し、双方の犠牲者は数十万人規模に上っている。
世界各国の指導者は戦争終結を模索しているが、トランプ氏は選挙戦の段階から交渉による解決を強調していた。
トランプ氏は1月の就任以来、ウクライナ問題の解決を最優先課題の一つとして掲げ、支援の一時停止もその一環とみられる。
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