超党派の保守系議員グループ「日本会議国会議員懇談会」は2025年3月5日、国会内で総会を開き、夫婦同姓制度を維持しつつ、旧姓の通称使用の法制化を目指す方針を確認した。この動きは、選択的夫婦別姓制度の導入に反対する立場から、結婚に伴う姓の変更による不便さを解消するための代替案として提示されたものである。NHKなどが報じた。
総会には自民党や日本維新の会の議員ら約40人が出席し、会長を務める自民党の古屋圭司元国家公安委員長が冒頭で「いわゆる『選択的夫婦別姓』の問題はいろいろな意見があるが、子供の視点からも丁寧に議論していく必要がある」と述べた。
懇談会は法制化に向けた原則として、(1)「同一戸籍・同一氏の原則」を堅持し、子への影響を考慮して親子別姓にはしないこと、(2)夫婦同姓を維持し、旧姓使用拡充の法整備を求める世論を尊重すること、(3)国や自治体、企業などで進む旧姓使用に法的根拠を与えることの3点を確認した。
この方針に基づき、懇談会は賛同する国会議員の署名を集め、石破茂首相や衆参両院議長に提出する予定である。
一方で、出席者からは一人が複数の名前を公的に使えるようになることで混乱を招く可能性を危惧する声も上がったという。また、自民党の「氏」制度の在り方に関する作業チームは、選択的夫婦別姓制度の導入を求める経団連から、3月6日に意見聴取を予定している。経団連は「選択的夫婦別姓」の早期導入を進めるよう、2024年6月、政府に提言を提出している。
なお、2021年に内閣府が実施した調査では、旧姓の通称使用の法整備を求める人が42.5%で最も多く、選択的夫婦別姓制度の導入を望む人は28.9%にとどまっていた。
この問題をめぐっては、個人の選択の自由と家族の一体感の維持という異なる価値観が対立しており、今後も議論が続くものと見られる。
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