米下院の共和党議員らは3月5日夜、イーロン・マスク氏と会談し、政府効率化省(DOGE)の活動について協議した。この会談は、同日午前にマスク氏が上院共和党議員と行った会談に続くものだった。
政府効率化省は、年間2兆ドルに上る財政赤字を削減するため、無駄な支出、詐欺、不正行為の排除に取り組んでいる。
5日、米最高裁は政府に対し、米国国際開発庁(USAID)の20億ドルの対外援助資金の凍結を解除するよう命じた。これにより、政府の予算削減計画の一部に影響が及ぶ可能性がある。
また、この会談は、退役軍人省(VA)が8万人の職員削減を計画しているとする内部通達が流出した直後に行われた。この計画について、ブライアン・マスト下院議員とリチャード・ハドソン下院議員は、DOGEが試用期間中の職位の精査を助言したものの、退役軍人省がその範囲を大幅に拡大しすぎた可能性があると指摘した。
退役軍人省は、記事掲載時点で大紀元のコメント要請に応じていない。
共和党下院議員の意見とDOGEの役割
会談前、共和党議員らはDOGEの取り組みを支持する一方で、削減の内容や範囲について懸念を示していた。
ダイアナ・ハーシュバーガー下院議員は「すべてのプログラムを精査し、必要なものと不要なものを判断すべきだ」と述べ、必要に応じて廃止されたプログラムを復活させることも可能だと強調した。
フアン・シスコマニ下院議員は、マスク氏に調査結果の文書提出を求め「無駄な支出の削減を全面的に支持するが、重要なサービスは確実に保護しなければならない」と述べた。
上院での昼食会と予算撤回
同日、上院共和党議員らとの昼食会で、マスク氏はDOGEが特定した削減案を議会で正式に承認するために「予算撤回(rescission)」の手続きを利用できることを学んだとみられる。
予算撤回とは、政府が未使用の予算を取り消すことで、歳出削減を行う仕組みである。議員らは、ホワイトハウスがマスク氏の提案する数十億ドルの歳出削減を「予算撤回パッケージ」としてまとめ、議会に提出できる仕組みを説明した。
上院予算委員会の共和党委員長リンジー・グラム上院議員はAP通信に対し「マスク氏は本当に嬉しそうだった。こんな仕組みがあるとは知らなかったようだ」と語った。
共和党のランド・ポール上院議員は、政府の浪費を削減し、無駄な海外支出を見直すために「予算撤回制度を活用すべきだ」と提案し、少なくとも1000億ドルの削減を目標とすべきだと主張した。
DOGEの今後の取り組み
マスク氏は「政府支出にはまだ多くの改善の余地がある。我々は順調に進んでいる」と述べ、今後も政府の無駄削減に取り組む姿勢を示した。DOGEは、今年中に1兆ドルの削減を目指している。
下院議員らとの会談後、マスク氏は議員らと報道陣に囲まれながら退室。DOGEの削減案について議会での採決が必要かと問われると「そうだ」と答えた。
下院のマスト議員は「予算撤回は会談の主要テーマではなかった」とし、議員らはDOGEが特定した無駄な支出を法的に削減する方法を検討していたと説明した。
ハドソン議員も同様の見解を示し「通常の歳出プロセスの中で進めることになる。公聴会はいつでも開始できるが、DOGEから具体的な文書を提供してもらう必要がある」と述べた。
ティム・バーチェット下院議員は「DOGEの削減案を法制化する手段として、予算撤回パッケージを利用することも選択肢の一つだ」とし、この取り組みを強く支持する姿勢を示した。
DOGE小委員会
マージョリー・テイラー・グリーン下院議員は、下院監視委員会内の「政府効率化(DOGE)小委員会」委員長を務めており、今回の会談を通じて「小委員会の活動に活用できる重要なツールを得た」と述べた。
オースティン・スコット下院議員は、米政府がインド・ハイデラバードの医療施設を支援していた件について言及し、USAIDの削減により、トランスジェンダー向け診療所が閉鎖されたことを指摘した。
また、DOGEの支出削減策に誤りが含まれている可能性については「実際のエラー率はかなり低いと思う」と述べた。
デリック・バン・オーデン下院議員は「米国の退役軍人が今後も確実に支援を受けられるようにする」と約束した。
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