政府は、高額療養費制度における患者の負担上限額の引き上げについて、当初予定していた2025年8月の実施を見送る方針を固めたことが分かった。与野党からの見直し要請や患者団体からの強い反対を受けての判断とみられる。NHKなどが報じた。
高額療養費制度は、医療費が高額になった際に患者の自己負担を抑える仕組みだ。政府は物価や賃金の上昇を踏まえ、2025年8月から負担上限額を引き上げる計画を立てていた。しかし、立憲民主党などの野党や、がん患者団体を中心とする当事者から、引き上げの凍結を求める声が強く上がっていた。
さらに、与党内からも懸念の声が出ていた。自民党の佐藤正久参院議員は、「自民党を応援している方々が多い病院長等の会合で、参加者誰一人として賛成の方はいなかった」と述べ、国民の理解が十分に得られていないとの認識を示していた。
こうした状況を受け、政府内で対応を協議した結果、2025年8月の引き上げを見送り、制度のあり方を再検討する方針を固めたという。
当初、政府は2025年8月の引き上げは予定通り行い、2026年8月以降の制度のあり方については2025年秋までに決定するとしていた。しかし、患者団体からは「治療を諦めろと迫るに等しい」との批判が出ており、政府の対応を求める声が高まっていた。
高額療養費制度の見直しは、社会保障費の削減を目的としていたが、患者の負担増に対する懸念が広がっていた。特に、がんなどの長期療養を必要とする患者にとって、負担上限額の引き上げは大きな影響を及ぼす可能性があると指摘されていた。
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