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中国経済のメディア記者 中国経済衰退は不可逆的

2025/03/12
更新: 2025/03/12

中国の経済はパンデミック後の回復が鈍く、不動産市場は崩壊の危機に直面している。著名なメディア関係者である澤西氏は、中国経済の今後の状況と動向について「長期的な不況であり、逆転は不可能だ」と分析している。

澤西氏は、中国最大の経済メディアグループで20年以上勤務し、ニュースセンター記者部の主任を務めた経験を有する。彼は中国経済を支える「投資・消費・貿易」の三本柱から現在の状況を分析した。

澤西氏は以下のように指摘している。
「投資分野はすでに過剰状態で、ほぼ投資先がない。かつては『鉄公基』(鉄道・道路・インフラ建設を指す)が投資の代名詞だったが、今やそれだけでは不十分だ。実際には、港湾、空港、高速鉄道、都市広場、政府庁舎、豪華なオフィス、高級ホテルなど、多岐にわたる公共投資や面子工程(中国の中央政府や地方政府による実績作りのための意味のない工事を指す)が含まれている。これらの施設は6〜7年前に完成し、過剰状態に達しているため、現在ではほとんど投資機会が存在しない」

澤西氏は13年前「長江デルタ地域の港湾過剰と競争」をテーマに記者団を率いて調査を行った。 当時、多くの港湾施設は閑散としており、安徽省安慶市の支線空港では1日の利用者が10人にも満たず、滑走路脇には雑草が生い茂っていた。 西部甘粛省では、巨額の資金を投じて建設された高速道路に1日数台しか車が通らないという状況が続いていた。 「世界一」と称される高速鉄道も債務が膨れ上がり、経営難に陥り、中国経済にとって大きな負担となっている。 現在、不動産市場も全面的に下落している。

澤西氏は、「不動産については長年の研究があり、2万字を超える報告書も執筆した。現在、中国では少なくとも180億平方メートルの住宅が空き家となっており、これだけで6億から7億人が住むことが可能だ。これは人口規模で米国2つ分、あるいはヨーロッパ全体に匹敵する恐ろしい数字だ。しかし、中国国内では多くの専門家がこの問題に触れようとしない。こうした状況で、どこに投資の余地があるのか?」と述べた。

もう一つの重要な柱は「消費」である。近年、中国当局は消費を刺激するための施策を数多く打ち出してきたが、消費者の心理は依然として低迷している。

澤西氏は、「今年に入ってから、中央から地方まで100以上の消費刺激策が打ち出されたが、それらはまるで、拳が綿に当たったかのように、何の反応も得られていない。政府も困惑しているようだ。その根本的な原因は、人々の手元にお金がないことだ。収入がなければ、どれだけ刺激策を打ち出しても効果はない。なぜ収入がないのかというと、現在の労働人口の約4割が失業状態だからだ。これは私の独自の見解ではなく、公式に発表されたデータに基づいて算出したものだ」

澤西氏によると、この失業データには3つの根拠がある。

第1に、昨年当局が認めた「柔軟な雇用者」が2億人いるという事実だ。「柔軟な雇用者」とは、週に1時間働くだけでも就業者と見なされるため、実質的には失業者と同じだ。

第2に、中国国家統計局の報告によると、新型コロナウイルス対策としての3年間の封鎖措置により、400万社以上の中小企業と1300万以上の個人事業主が倒産または廃業した。中小企業1社あたり平均20人、個人事業主1軒あたり2人と仮定すると、約1.6億人の失業者が新たに生まれたことになる。

第3に、AI検索によると、2020~24年に中国国内で大学を卒業した人数(学士・修士・博士)は約5753万人だ。北京大学の准教授、張丹丹(ちょう・たんたん)氏の研究によれば、中国の若年層の実質的失業率は46.5%とされ、この計算からは少なくとも2675万人の若年層失業者が存在することを示している。

澤西氏
「これら3つの失業データを合計すると、『2億人+1億6千万人+2675万人で、合計3億9千万人近く』となり、中国の総就労人口7.5億人の44.5%に達する。この44.5%という失業率の中で、一体どこから収入を得ることができるのだろうか? 収入がないのに、どこから消費するのだろうか?」

三本柱のうち二本(投資・消費)が崩れ、残る一本「貿易」も深刻な状況だ。

澤西氏
「外貿についても、現在米国やEUによる関税措置を受け、さらにベトナムなど東南アジア諸国も中国製品に対する関税を導入したため、中国製品の輸出への圧力は増す一方だ。この現実を踏まえ、中国経済は長期的な不況に陥り、逆転は不可能だと判断した。投資の余地はなく、消費も喚起できず、外貿という最後の生命線もいつ断たれるかわからないのだ」

さらに、中国には深刻な債務問題も存在する。当局は多くの政策を打ち出しているが、「不況不可逆」の決定的要因は当局自身であると言われている。

澤西氏は、「私が中国経済の長期不況とその不可逆性を指摘する最大の理由は、習近平が中国経済の成長を左右する『総スイッチ』を握っているからだ。この『総スイッチ』は、党が党、政府、軍、民間、学問のすべてを指導するという原則を意味する。最近、民間企業家の座談会で焦りを見せているが、党の指導性を強調し続ける限り、中国経済には希望がないと言わざるを得ない」と述べている。