2024年末、アメリカ議会は人権に関する法律「法輪功保護法案」を提出したが、上院が大統領選挙で忙しかったため、当年の立法年度内に成立しなかった。最近、米議会の両党議員が、再び同じ法案を提出し、早急に上下両院での投票を経て成立させるように準備を進めている。今回の新しい法案は、前回と同様、中国共産党(中共)による臓器狩りや反人道的問題に焦点を当てている。この法案が成立すれば、中共に対抗する米国の非常に重要な武器となるだろう。
上下両院議員が「法輪功保護法案」を再提出
英語版大紀元のワシントンDC駐在ベテラン記者テリー・ウー氏は、新唐人テレビの番組『菁英論壇』で次のように述べた。米国議会の上下両院議員が再び「法輪功保護法案」を提出した。下院版は2月24日に、上院版は3月3日に、それぞれ提出された。特筆すべき点として、前回上院で、この法案を主導したマルコ・ルビオ氏は現在、アメリカ国務長官となっており、彼の友人で同僚でもあるテキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員が、その役割を引き継いだ。両氏とも中国の人権問題について、積極的に発言してきた議員である。また、ペンシルベニア州選出の共和党下院議員スコット・ペリー氏とニューヨーク州選出の民主党下院議員も共同でこの法案を推進している。この民主党議員は、法輪功学習者が主催する神韻芸術団の拠点が管轄区内にある人物だ。
テリー・ウー記者によれば、今年提出された上下両院の法案は内容が一致しており、昨年下院で通過したものとも同じ内容である。このため下院での通過は基本的に問題なく、手続き的な再審議のみとなる見込みだ。
また今回、クルーズ上院議員事務所側から積極的に連絡があり、「誇らしい形」で独占情報として提供されたと言う。
テリー・ウー記者はさらに、新しい法案は、昨年と完全に同一内容であり、非常に強力なものだと説明した。具体的には、中共政権が存続する限り、中国国内で行われるいかなる臓器移植にも米国は関与しないことを政策として定めており、また、この報告書には、中共による臓器移植データや中国国内で臓器マッチングまでにかかる時間など、詳細なデータも含まれていると言う。
長年経過する中で、中共による臓器狩り犯罪は、ワシントン政界でも広く認知されている事実となったものの、更なる詳細については、いまだ明らかになっていない部分も多い。そのため、この報告書がアメリカ政府の力を用いて情報収集すれば、将来的な犯罪詳細の暴露に大きく役立つだろうと言った。
またテリー・ウー記者によれば、テキサス州やアイオワ州、ユタ州では、すでに州レベルで立法措置が取られており、中国へ渡航して臓器移植を受けた州民には、健康保険会社がサービス提供できないよう規定されている。また立法措置以外にも、バージニア州などでは臓器狩り行為を非難する決議も採択されている。テキサス州でこの措置を推進した人物によれば、「人命は貴重であり踏みにじってはならない」という強力なメッセージを北京へ送ったという。連邦議会レベルでもこのような民意を反映した動きが見られた。
米国民衆の声が強まれば強まるほど、それに明らかに反する行動を取ることは議員として難しくなる。またホワイトハウスも、国会や議員らが支持しない政策提言を行うことは困難になる。そのため、中国で長年教鞭を執った米国専門家も「米中関係は今後ますます悪化するしかない」と語っていると言う。
現在ワシントンでは、中国問題への共通認識がますます強固になっており、中共による人権迫害への理解も深まりつつある。過去には、人権問題と中国とのビジネス関係とは切り離されて考えられていた時もあった。しかし今では、「中共とのビジネス取引によって、中共を変えることや中国人民を助けること」が不可能だという認識が広まりつつある。
テリー・ウー記者によれば、「過去20年間歩んできた道筋は誤りだった」という認識が、現在ワシントンでは主流となっており、中共政権の本質を見抜きながら問題を見るようになってきたという。中共側も長期的な努力によって、多くの国々が、必ずしも米国主導の国際秩序を全面的には支持しなくなった。しかしながら、多くの人々には、理性的な認識として「もし現在の国際秩序が中共主導になれば、それは米国主導より遥かに悪いものになる」と理解している。
テレビプロデューサー李軍氏も『菁英論壇』番組内で次のように述べた。「法輪功問題」は中共政権最大の弱点であり、一旦その迫害実態が完全暴露されれば、中共政権は国内外とも立ち行かなくなる。そのため海外で成長する法輪功、大紀元メディアや神韻芸術団などへの弾圧拡大も必然的な流れだと言う。トランプ大統領の一期目の時には、既に突破口となる動きもあり、大統領自ら法輪功学習者と面会し迫害状況について尋ねたこともあったのだ。
李軍氏によれば、中共政権はいまや米国の敵対勢力となっており、その最悪かつ最も民心離反につながった犯罪こそ「法輪功学習者への臓器強制摘出」だと言う。そのため今回上下両院で同時提出された「法輪功保護法案」は、中共への痛烈な一撃となり、中共による海外への迫害拡大にも、効果的な反撃になると述べた。
中共が掌握する法輪功学習者からの臓器強制摘出産業チェーン
李軍氏は『菁英論壇』の中で、「私は2017年に『臓器狩り十年調査』というドキュメンタリーを制作しました。この内容は、2016年に法輪功迫害を追及する国際組織(略称『追査国際』)が発表した10年間の調査報告に基づいています。この映画は後に国際的にもいくつかの賞を受賞しました。映画には比較的完全な証拠が提示されており、2000年以降、中国で急増した臓器移植手術の多くが、秘密裏に拘束された法輪功学習者からのものであることを示しています。その中には、臓器狩りを自ら目撃した警備員の証言もあり、非常に衝撃的な内容です」と述べた。
ドキュメンタリーでは主に、2000年前後に中国で臓器移植産業が突然爆発的に増加したことを取り上げている。それまで年間数十例から百例程度だった移植手術件数が、わずか1〜2年の間に100倍以上増加し、年間1万件を超え、一気に世界有数の臓器移植大国となった。世界各国の臓器移植産業は毎年約7%ほどの緩やかな成長だが、中国は当時まだ臓器提供制度すら整備されていないにもかかわらず、短期間で100倍もの急増を遂げた。この大量の臓器はどこから来たのか? 当時、中国では基本的に1~2週間、短ければ数日待つだけで臓器移植が可能だった。一方、アメリカでは1億人以上の自発的な臓器提供者がいるにもかかわらず、平均待機期間は2〜3年だった。これらは全て当時中国国内で公開されていたデータだ。
李軍氏によると、「追査国際」が病院への電話調査を継続的に行ったところ、一人だけでなく複数の医師が、自分たちが使用する臓器は法輪功学習者から来ていると直接認めたという。短期間で臓器が用意できるという事実は、中国国内で中共によって拘束された特定のグループが存在し、いつでも血液検査や遺伝子配列の比較を行える状態で管理されていることを意味している。
中共が本気で臓器移植産業の闇を調査したいならば、それは非常に簡単だ。なぜなら最終的にこれらの臓器は病院、特に軍関連や地方の三甲病院(三級甲等病院:中国の最高レベルの病院)など、大規模な移植病院へ運ばれるからだ。しかし、中共は調査しようとせず、むしろ隠蔽している。
李軍氏によれば、このドキュメンタリーでは約半分の時間を費やして、中共が背後で操っている産業チェーンについて紹介している。「追査国際」の調査員が裁判所、公安、中共「610」機関などへ電話調査を行ったところ、それら機関も法輪功学習者の臓器提供を認めた。また調査員は紀律検査委員会幹部を名乗り軍や政府高官にも取材し、生体からの臓器摘出について尋ねたところ、彼らもその事実を知っていた。中国国内メディアでも「衛生部長が電話一本すれば24時間以内に二つの臓器を手術室へ届けられる」と報道されたこともある。これら全てから、中共自身がこの内幕を明確に把握しており、中共の支援なしにはこの産業が存続することは不可能だと分かる。
現在では法輪功学習者だけでなく、中共メディア自身も「道行く人々が『歩く100万元』だ」と報じるほどになっている。武漢市では何年にもわたり20歳前後の大学生多数が失踪し、「胡鑫宇事件」は全国的な衝撃となった。しかし中共は真相を民衆に知らせようとはしない。現在、中国では毎年数十万から百万もの人々が失踪しており、この問題が明るみに出れば中共政権は必ず崩壊するだろう。国家機関が自国民の生きている体から臓器を強制摘出して利益を得るなど、誰も容認できないことであり、今や臓器移植は中共高官への福利厚生になってしまっている。
例えば中国文学芸術界連合会の元党委員会書記・高占祥が死去した際、その友人によれば、高占祥は病気と闘うため何度も臓器移植を受けていたという。一介の部長級幹部ですら複数回移植手術を受ける状況だ。また中共には「150歳長寿計画」というものまであり、その中には「臓器再生」計画まで含まれているという恐ろしい話もある。
大紀元の主筆・石山氏は、「世界で最も邪悪な政権とは殺人によって利益を得る政権だ。生体からの臓器強制摘出という犯罪行為は、人類史上前例がないほど邪悪なものであり、人肉叉焼包事件と同じぐらい恐ろしい話だ」と述べた。
米国が戦略の重点を移し共産党に対抗 法輪功保護法案は抑止力を持つ
ベテランジャーナリストの郭君氏は『菁英論壇』で次のように述べた。「私はこの法案の効果は非常に大きいと考えており、中国共産党(中共)に対して強い抑止力を持つ。短期的には、中共による海外での迫害行動を大きく抑制することになるだろう」
「なぜなら、この法案には責任者への制裁が規定されており、本人やその家族が海外に資産を持っている場合、その影響はさらに大きくなるからだ。現在のポイントは、米国がどれほどの決意を固めているかということだ。以前は米国と中共の間にはグローバル戦略上、大きな協力と小さな対抗という基本構造があったが、今では小さな協力と大きな対抗へと変化した。アメリカはすでに中共を歴史上最大の全面的脅威と認識しており、この法案は重要な武器となっている」
郭君氏はさらに、「米中間には多くの意見対立がある。例えば民主主義や人権問題、経済貿易問題、地政学的な争議、知的財産権問題などだ。しかしこれらの多くは制度上の争いや国家利益上の紛争として説明できるため、他国から見れば『それは利益やイデオロギー、制度の争いであって、自分たちとは関係ない』として協力しない可能性もある。しかし信仰の自由、とりわけ臓器強制摘出問題については、それ自体が反人類的犯罪であるため、どんな国家や団体、人種であろうとも無視することはできない。この点こそ道義的な高地となる」
「したがって、米国と中共との全面的対抗には道義的な高地が必要なのだ。大紀元は2006年に中共による臓器強制摘出を暴露した。当時、多くの人々や国家もこれを信じていなかったが、その後徐々に調査が進んでようやく信じられるようになった。この過程には長い時間を要した。しかし各国は中共との協力関係を認めたら、『どうして反人類的政権と協力できるのか?』という問いが生まれる。そのため、多くの政府は実利主義的態度を取り、沈黙したり知らないふりをしてきた。実際、過去には米国も同様だった」
「私はアメリカ政府、とりわけ情報機関はこの問題について知っていたと思う。今回この法案を打ち出したことも、アメリカが大戦略を転換し、今後米中両国間でグローバル規模の対抗に移行することに合わせたものだ。この法案ではアメリカ行政部門に定期報告を求めており、つまり政府に態度表明を迫っているわけで、もう知らないふりはできなくなる。また、中共による海外迫害行動(世論戦や法律戦など)にも強い抑止効果を発揮するだろう」
「例えばニューヨーク・タイムズ紙は3か月間で神韻公演や大紀元時報への攻撃記事を10本以上掲載した。常識ある人なら誰でも、この新聞社が中共による海外迫害行動に協力していることが分かるだろう。この法案が成立すれば、法輪功学習者はアメリカ政府に徹底調査を要求できるようになる。また法律戦について言えば、昨年ロサンゼルス華僑リーダー陳軍が有罪判決を受けたケースがある。彼は中共の法輪功迫害を担当する『610弁公室』から任務を受けていた人物だ。彼は神韻公演に対する虚偽の告発を目的として、アメリカの連邦税務局の職員を買収しようと企て、その後アメリカ政府による刑事訴追につなげようとしていた。この事件はFBIによって発覚し陳軍は有罪となった。しかしまだ発覚していない事件や未解決事件はいったいいくつ存在するだろうか?」
郭君氏は最後に述べた。
「もし米国で『法輪功保護法案』が成立すれば、この種の全ての案件についてまず司法当局が徹底調査し、その背後に中共による操縦や関与があるかどうか確認することになる。当然これは法輪功側にも非常に大きな助けとなる」と。
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