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春闘が昨年を上回る結果 石破総理 中小企業の賃上げに向け「政策を総動員する」

2025/03/13
更新: 2025/03/13

2025年3月12日、経団連の十倉雅和会長は、福岡市内で記者会見を開き、今年の春季労使交渉(春闘)の集中回答日について、昨年を上回る企業が非常に多かった結果に「上々のスタートだ」と評価した。

十倉会長は「昨年を上回る企業が非常に多い。賃金引き上げの勢いが定着しつつあることを確信しつつある」と述べ、賃上げが広がりを見せている現状に期待感を示した。また、「1万円を切る回答はほとんど見られなかった」とし、多くの企業が物価高騰や人手不足への対応として積極的な賃金引き上げに踏み切ったことを歓迎した。

今年の春闘では、製造業を中心に5%以上の賃上げが2年連続で実現する見通しだ。これは2024年に加速した賃金引き上げの流れが、2025年に定着する兆しといえる。特にトヨタ自動車や主要部品メーカーなどで満額回答が相次ぎ、労使間で「人への投資」の重要性が共有されていることが背景にある。

一方で、中小企業や非正規雇用者への波及については課題も残る。日本商工会議所が3月5日に発表した「中小企業における最低賃金の影響に関する調査」によると、新たな政府目標に対し、地方・小規模企業の4社に1社が「対応不可能」 2025年度より7.3%引上げとなれば、地方・小規模企業の2割が「休廃業を検討」と賃上げに厳しい見方を示しており、現在の最低賃金の負担感について、「大いに負担」・「多少は負担」と感じる企業の合計は76.0%に達し、地方と都市部を比較すると9.6ポイント地方が上回っていた。

12日、政府と経済界、労働界の3者による「政労使会議」政労使会議で、石破茂首相は「『賃上げと投資がけん引する成長型経済』の実現に向けた機運が高まり、官民の連携が一層進んできたことが実を結んできている」と述べながらも、中小企業の賃上げに向け「政策を総動員する」考えを示した。

2018年1月から韓国の文在寅(ムンジェイン)政権では最低賃金引き上げを行い、低所得労働者の生活改善という点では一定の成果を上げたものの、急激な賃上げが中小企業や自営業者に負担をかけ、雇用の減少という副作用を招いたという批判もある。政策の実施ペースや、企業支援策とのバランスが重要だ。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。