中国では、墓地高騰により、各地の集合住宅内に「骨壺部屋」がかねてから存在する。
「骨壺部屋」とは墓地の代わりに作られた、都市の集合住宅の一室を改造した骨壺を置くための専用の部屋のことだ。
同じ集合住宅内に何部屋も「骨壺部屋」が存在するケースや、なかには集合住宅の階ごと、全ての部屋が「骨壺部屋」という事態もある。

住民は、死者と同じ建物で暮らすことになるため、抗議の声は絶えないが、「骨壺部屋」は確実に増えており、SNS上では「うちのマンションに、住んでる死人は、生きている人より多い」といった嘆きも。
住民抗議
3月15日、同国広東省仏山市の集合住宅では、マンション内に、複数の「骨壺部屋」があることを知った住民たち約1千人が、マンション前で抗議を行った。
これら骨壺部屋は外部への貸し出しなど商業利用が行われている疑いも持たれているという。
住民たちは、「撤去!」と叫び、「骨壺部屋の即時撤去」を求めた。
住民たちが抗議する理由は、「死人と一緒に暮らしたくない」という当然ながらの心理もあるが、なかには骨壺部屋の存在による住宅価格の下落を懸念する人も多い。

この件について、現地当局は、「改装されたのは一部の部屋で、骨壺部屋ではなく仏堂だ」と説明したが、「言い訳」に過ぎず、当然ながら当局の下手な説明には納得していない。
そうして、大規模な抗議へと至った。怒涛の民意に直面した当局は、最終的に、骨壺部屋の全撤去を約束し、抗議は終焉した。
(骨壺部屋に改装された集合住宅の部屋、中国広東省仏山市)
高騰する墓地の代わりに「骨壺部屋」を購入する市民
近年、パンデミックなどにより死者が急増しており、墓地の需要が急激に高まっている。
北京では市中心から離れた一般的な墓地であっても、価格は10万元(約210万円)以上もする。しかも、墓地使用期間は20年間しかなく、20年過ぎるとさらに墓地管理料などの費用がかかる。
そこで、郊外のマンションであれば25万元(約524万円)ほどで購入できて、70年の使用権があるため、墓地の代わりにマンションの一室に骨壺を安置する人が増えている。

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