トランプ政権は28日、米国際開発庁(USAID)の残りの職員をほぼ全員削減し、同庁を閉鎖すると議会に伝えた。
USAIDは1961年にジョン・F・ケネディ大統領の署名により設立され、長年にわたり世界中で貧困や飢餓の撲滅を目指して活動してきた。しかし、トランプ政権は同庁が「税金を無駄遣いし、アメリカの利益と一致しない海外プログラムを支援している」と批判し、大幅な削減を進めてきた。
今回の再編では、USAIDの残存する機能が国務省の管轄下に移され、多くのプログラムが終了する見込みだ。
連邦控訴裁判所は同日、政府効率化省(DOGE)が主導するUSAIDの規模縮小の取り組みを阻止した下級裁判所の命令を保留にした。
新たな命令の中で、A・マービン・クアトルバウム・ジュニア判事は、バージニア州リッチモンドにある控訴裁判所は、公共の利益のため、下級裁判所の命令を差し止める動議を認めると記した。
マルコ・ルビオ国務長官は声明で「USAIDはその設立目的から逸脱し、成果が乏しい一方で費用が過大だった」と述べた。
また「トランプ大統領のおかげで、この誤った財政的に無責任な時代は終わりを迎えた。我々はアメリカとその市民の利益を最優先する形で外国援助を再構築している」と強調した。
政府の調査でUSAIDのムダ遣いが明らかに
DOGE議連議長ジョニ・アーンスト上院議員による調査結果は、USAIDの職員たちが中東のテロ組織と関係のある団体に、ハマス、ヒズボラ、アルカイダといった危険なテロ組織との繋がりが確認されている複数の団体が、この資金を受け取っていたという疑惑を指摘している。
その他、ウクライナへの支援の中には、数百万ドル規模のUSAIDプログラムが「秘密の不透明な資金」として使用され、その中には、「プレミアムな限定家具」の購入に11万4千ドル(約1700万円)、犬用首輪メーカーとペット追跡アプリケーションを販売する会社にそれぞれ30万ドル(約4500万円)といった戦時下の援助としては疑問を抱かざるを得ないような事例も数多くあがっている。
調査員たちは「資金は戦争で荒廃した国の経済的苦境を緩和するためのものだったと言われているが、実際はウクライナのモデルやデザイナーをニューヨーク、ロンドン・ファッション・ウィーク、パリ・ファッション・ウィーク、テキサス州オースティンのサウス・バイ・サウスウエスト(SXSW:大規模複合イベント)などに派遣するような無駄な活動に使われた」と述べている。
援助停止に懸念の声
民主党議員や人道支援団体は、USAIDの解体が世界中の弱者への支援を損ない、米国の外交的影響力を低下させると警告している。
USAIDの退職者の女性は「機構の削減が必要であることは理解するが、その進め方があまりに無計画で拙速だった」と批判している。
また、元外交官のローラ・ケネディ氏(旧ソ連、トルクメニスタン、トルコで勤務)は「USAIDは、アメリカの安全保障と繁栄のために重要な役割を果たしている」と述べた。
「USAIDの活動は単なる援助ではなく、国際社会における米国の影響力を強化するものだ」と強調した。
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