ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、現在進行中のロシアとウクライナの戦争に対する長期的解決の一環として、ウクライナを国連の対外統治計画の下に置くという考えを提案している。
プーチン大統領は3月28日、ロシアのムルマンスク地方にある北極圏の潜水艦基地を訪問した際、ウクライナの政治的支配権を国連に委ねるという考えを提起した。記者会見に臨んだ大統領は、現在のウクライナ政府には正当性がないため、和平合意の履行を信頼することはできないと、これまでの主張を繰り返した。
大統領がウクライナ政府の正当性を攻撃しているのは、ウクライナがロシア軍を撃退するために戒厳令を敷いたまま、通常の選挙サイクルを延期していることに起因する。現行憲法では、戒厳令下のウクライナは選挙を実施しない。
普通選挙の延期はウクライナの戦時法に沿ったものだが、プーチン大統領は、こうした状況は、ウクライナ側の誰が最終的な和平合意を履行するかについて不確実性をもたらすとし「誰と文書に署名すべきか、その文書がどのような効力を持つのか、すでに不透明な状況だ。なぜなら、明日には選挙で新しい指導者が権力を握り、『誰がこの文書に署名したのか知らない。それではさようなら』と言いかねないからだ」と述べた。
また1999年から2002年までの東ティモールにおける国連の暫定政権や、旧ユーゴスラビアの一部やニューギニアにおける国連の管理する暫定政権について触れ、「原則的には、国連の枠組みの下で、アメリカやヨーロッパ諸国、そして当然ながら我々のパートナーや同盟国とともに、ウクライナに一時的な行政機構を設置する可能性について協議することは確かに可能だ」と述べ、国連が一時的に外部政府として介入することは前例がないわけではないと主張した。
プーチン大統領は、このような暫定的な外部の行政機関がウクライナで一連の民主的選挙を実施することができ、その後、ロシアとウクライナがより永続的な平和協定に達する可能性があると述べた。
「これは一つの選択肢に過ぎない。ほかの選択肢がないとは言わない」
ホワイトハウスの国家安全保障会議の報道官は、プーチン大統領の暫定的行政に関する発言について尋ねられた際、ウクライナの統治はその憲法と国民によって決定されるべきだと述べている。
ウクライナのゼレンスキー大統領や政府内の他の職員は、プーチン大統領の提案に対してまだ反応していない。
今週の平和交渉についてコメントしたトランプ大統領は、ロシア側が意図的に交渉を遅らせている可能性を排除しなかったが、それでもロシアが戦闘を終わらせたいと考えていると信じていると述べた。
ウクライナとロシアは、相互のエネルギー施設への攻撃を禁じる30日間の合意に達した。両国はまた、黒海での敵対行為を制限するための合意に原則的に支持を表明している。しかし、トランプ大統領は、ロシア側が提示した「5つまたは6つの条件」を検討しており、その条件が満たされるまで、黒海の停戦を最終的に合意することはないと述べた。
一部の欧州の首脳たちは、最近の平和交渉におけるロシアの意図に対してより大きな疑念を表明している。
3月27日のパリサミットで、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ロシア側が交渉に関心があるふりをしているだけだと非難した。
また、イギリスのキア・スターマー首相は、同じく3月27日のパリでの発言の中で、ロシアが最近攻撃の停止を合意したにもかかわらず、ウクライナのエネルギー施設への攻撃が続いているとの報告を指摘した。
マクロン大統領とスターマー首相は、ウクライナとロシアの間の最終的な平和協定を実施するための国際的な連携を呼びかけている。27日、マクロン氏は、そうした平和維持軍がウクライナに対する新たな敵対行為に直接対応できるべきだと提案している。
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