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硫黄島で日米合同慰霊式 石破首相や日米防衛相ら参列

2025/03/31
更新: 2025/03/31

令和7年3月29日、石破茂首相は東京都小笠原村の硫黄島を訪れ、日米合同慰霊式に現職首相として初めて参列した。この式典には中谷元防衛大臣やアメリカのピート・ヘグセス国防長官も参加し、戦後80年の節目に戦没者を追悼するとともに、日米同盟の重要性を改めて強調した。

硫黄島は太平洋戦争末期に日米両軍が激戦を繰り広げた地であり、日本側では約2万1900人、アメリカ側では約6800人が命を落とした。現在も1万体以上の遺骨が未収容のままとされている。

集団埋葬地を訪問する石破総理一行(提供:首相官邸)

今回の慰霊式は、1995年に戦後50年を記念して始まったもので、日米両国が共同で戦没者を追悼し友好関係を深めることを目的としている。今年は戦後80年という節目でもあり、中谷大臣とヘグセス長官の日米防衛相が揃って参列したことは、その象徴的な意義が際立つものとなった。

式典では、石破首相が「我々が享受している平和と繁栄は、戦没者の尊い犠牲と人々のたゆみない努力によって築かれたものだ」と述べ、「硫黄島の地で、祖国のために戦われた方々の英霊に敬意を表するとともに、我が国の平和への誓いを新たにし、日米同盟をさらなる高みに引き上げる決意を表明する」と語った。

献花する石破総理(提供:首相官邸)

また、中谷防衛大臣やヘグセス国防長官もそれぞれ挨拶し、日米同盟がインド太平洋地域の平和と安定の基盤であることを強調した。

中谷防衛大臣は、戦後80年という節目にあたり、「80年前に戦火を交えた日米両国が、今や世界で最も強力で成功した同盟関係を築き、地域の平和と安定を守っている」と述べた。また、「強固な同盟関係のもとに、米国と緊密に連携し、インド太平洋地域と世界の平和と安定に一層貢献していく」と語り、現在の厳しい安全保障環境に対応するため、防衛力の抜本的強化を進める決意も表明した。さらに、「かつて激戦を交えた敵と味方が最も強い同盟関係を築き、慰霊式を合同で開催していることに感動を覚える」とし、戦没者の犠牲が日米両国の平和と繁栄の礎となっていることを後世に伝えていく重要性を訴えた。

一方、ヘグセス国防長官はアメリカの国防長官として初めて硫黄島を訪れ、「日米同盟は1945年の勇敢な男たちによって、昨日の敵が今日の友となったことを示している」と述べた。そして、「私たちの同盟はインド太平洋地域における自由、繁栄、安全、そして平和の礎であり続けている」と語り、戦没者への敬意とともに日米同盟の重要性を強調した。また、「ここで命を捧げた多くの人々を思い出しながら、私たちの日米同盟と友情を再び誓約しよう」と呼び掛けた。さらに、硫黄島で戦った日米双方の兵士について「彼らは信念と信仰を持ち、自国や仲間への信頼を胸に戦った」と敬意を表した。

遺骨収容現場を視察する石破総理一行(提供:首相官邸)

式典終了後、一行は日本側による慰霊式にも参加し、その後遺骨収集現場を視察した。石破首相は「政府として遺骨収集に全力を尽くし、一日でも早くご遺族の元へお返しできるよう努める」と述べた。

自衛隊員を激励する石破総理(提供:首相官邸)

今回の訪問は、日本とアメリカがかつての敵対関係から友好関係へと転じた歴史的な歩みを象徴するものであり、戦後80年という節目において両国の絆をさらに深める契機となった。

なお、今回の硫黄島訪問には上述の参列者の他に、日本側からは、福岡資麿厚生労働大臣、藤井比早之外務副大臣、逢沢一郎衆議院議員(硫黄島問題懇話会会長)、新藤義孝衆議院議員(硫黄島協会遺族代表)を始めとする国会議員、硫黄島協会関係者(硫黄島戦没者遺族)を含む約130名が参列した。

米側からは、ジョセフ・ヤング在日米国大使館臨時代理大使、エリック・スミス海兵隊総司令官、リチャード・ミルズ米国硫黄島協会議長、米国連邦議会議員を含む約160名が参列した。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。