米中間の貿易戦争が始まり、中国経済の成長が鈍化する中、中国共産党(中共)党首の習近平は3月28日、首都・北京で40人以上の多国籍企業幹部と会談を行った。この1週間、中国では「ボアオ・アジア・フォーラム」や「中関村フォーラム」が開催され、外資の信頼を回復できるかどうかが注目されている。
3月28日、習近平は北京でフェデックス、メルセデス・ベンツ、トヨタ、サムスンなどの多国籍企業の幹部と会談し、「対外開放は中国の基本国策である」と強調した。また、中国を「理想的で安全な投資先」と位置づけ、外資の投資を促した。
しかし、専門家は習近平が「開放と平等」を強調しても、多国籍企業が中国から撤退する現状を変えるのは困難だと指摘している。
国際問題専門ジャーナリストの唐浩氏は「党首が何を言おうとも、外資を引きつけるのは難しい。中共の独裁体制では自由市場や外資企業の自由な発展が許されず、経済政策は党の安全や政治的必要性に基づいて決定されるため、外資企業の権益を保障することは非常に難しい状況だ」と述べた。
近年、中共による外資企業への規制強化や地政学的影響により、多国籍企業は中国経済の将来性やビジネス環境への信頼を失い、中国への投資額が大幅に減少している。
2024年、中国の海外直接投資(FDI)の純額は1684億ドル減少し、1990年以来の最高水準の資本流出を記録した。外国から中国への投資はわずか45億ドルで、1992年以来の最低水準であり、2021年の過去最高額を記録した3440億ドルのわずか1.3%に過ぎないのが現況となっている。
唐浩氏は「中国経済は長期的な低迷とデフレに直面し、国民の収入や消費力も低下している。トランプ大統領が関税障壁を強化し、中国製品のダンピングを防いでいる一方で、中共は昨年『スパイ摘発』を名目に外資企業を捜査し、外国人を拘束した。このため、外資関係者の間に不安が広がり、多くの外資家にとって中国への投資はリスクが利益を大きく上回る状況だ」と述べた。
米企業調査会社「ミンツ・グループ」は最近、中共当局に2年にわたって拘束されていた中国人スタッフ5人が釈放されたと発表した。
専門家たちは、中共政権がこのような行動を取るようでは外資系企業の懸念を払拭することは難しいと分析している。
政治経済評論家の秦鵬氏は「単一の事例では、外資系社員が抱える反スパイ法やデータの安全性に関する深刻な懸念を解消することはできない」と述べている。
唐浩氏は「中共が外国人の人質を解放したのは、単なる『投資誘致パフォーマンス』に過ぎない。外資系企業もこのことを理解している。これは中共内部で経済危機が発生したため、姿勢を低くして演出したものだ。しかし企業側から見ると、中国でのビジネスリスクは依然として解決されていない。自由市場を抑圧し、資本主義に反対する共産党こそが、中国経済の最大のリスク要因だ」と述べている。
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