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旧統一教会解散命令の衝撃 創価学会への影響は

2025/03/31
更新: 2025/03/31

旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への解散命令が確定したことは、日本の宗教界全体に波紋を広げている。

解散命令は、長期間にわたる高額献金や霊感商法などの問題が組織的かつ継続的に行われたことが認定されたためである。教団は信者やその家族に対し「不安をあおる」手法を用い、多額の財産的損害や精神的苦痛を与えたことが民法第709条(不法行為)に抵触するとして解散命令が確定した。

この決定を受け、他の宗教団体にも同様の基準を適用すべきだとの声がSNS上で上がっており、特に創価学会への批判が強まっている。創価学会には過去に、政治活動や選挙活動に関連する問題が指摘されており、その関係性が議論を呼んでいるが、教団が行ってきた活動について法的な疑義を呈する声も存在する。

旧統一教会は、宗教法人としての認証を受けて60年にわたり刑事事件は一件も起こしていない。ただし、民事上の訴訟において、信者の家族に対する過度な献金要求や霊感商法に対する裁判所の判断がなされており、その結果として解散命令が確定した。一方、信教の自由という観点からは、解散命令が世界的に信教の自由を損なう法的解釈を開く可能性があるとの懸念も生じている。

統一教会に関する問題が公的に議論される中で、政治家と宗教団体の関係も注目を集めている。安倍元総理大臣銃撃事件を契機に、統一教会と政治家との関係についてメディアでの報道が激化し、事件の背景として「信者の家庭での経済的な問題」や「統一教会への献金」が取り上げられることが多かった。こうした報道は、事件と統一教会の関与を混同させる印象を与えることもあったが、法的には統一教会と事件との直接的な関係は認められていない。

創価学会に関しては、公明党との関係が「政教分離に反する」との指摘が根強い。特に、岸田元総理が創価学会の池田大作名誉会長の死去に際して「内閣総理大臣」として哀悼コメントを発表し、創価学会本部を弔問したことが問題視された。これに対し、岸田首相はコメントを「個人として」のものであると釈明したが、公式な立場で宗教団体に接近したことが「政教分離原則」に対する疑念を呼び起こした。

憲法第20条における政教分離の原則は、国家が特定宗教を優遇または強制することを禁じるものであり、宗教団体が政治活動を行うこと自体は許容されている。しかし、宗教団体と政治家の関係が過度に密接である場合、政教分離の原則に反するとの懸念が生じることも事実だ。この点については、創価学会と公明党の関係が、現代の憲法解釈においてどのように扱われるべきか、今後の議論の余地が残る。

創価学会に関連する刑事事件も過去に発生している。例えば、大阪事件(1957年)では、参議院補欠選挙での候補者支援において、公職選挙法違反(買収・戸別訪問)が行われた。さらに、2002年には創価学会関係者がジャーナリストの通話記録を不正に取得した通話記録盗み出し事件が発覚した。この事件では、実行犯が電気通信事業法違反で有罪判決を受けたが、創価学会自体の組織的な関与については法的に認定されなかった。

信教の自由を保障する一方で、その活動が社会的に問題を引き起こす場合、どのように法的に対応するかは難しい問題だ。旧統一教会の解散命令については、民事上の問題に基づく判断であるが、それが信教の自由という基本的人権に対する過度な制限となるのではないかという懸念も強い。

宗教団体による不正行為が社会的に問題視されることはあるだろうが、その対応が過剰な場合、他の宗教団体への影響や信教の自由の制限につながる可能性があることは、慎重に考慮する必要があるだろう。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。