4月2日、トランプ米大統領は、ホワイトハウスの大統領執務室で側近らと会議を開き、中国製動画アプリTikTokの売却提案について最終協議を行った。協議の目的は、TikTokから中国資本を切り離し、アメリカの国家安全保障上の懸念に対応することにあった。
アメリカでは昨年、超党派の議員の支持を得て、TikTokの親会社である中国企業バイトダンスに対し、2025年1月19日までにTikTokからの資本撤退を義務付ける法案が可決された。期限までに売却が完了しない場合、TikTokは、全米での使用禁止措置の対象となる。
TikTokをめぐっては、同アプリが、中国共産党によって世論操作や個人情報収集に悪用される恐れがあるとして、議会内で懸念の声が強まっていた。
トランプ大統領は、政権復帰後、この法律の施行を一時猶予する行政命令に署名し、TikTokに対し75日間の猶予期間を与えており、最終期限は4月5日に設定されている。
今回の会議には、ヴァンス副大統領、ルトニック商務長官、国家安全保障担当のウォルツ大統領補佐官、ギャバード国家情報長官らが出席する見通しだ。CBSニュースが最初に報じたこの動きを、AP通信やブルームバーグなど他の主要メディアも追随して伝えた。
トランプ氏は、3月31日、エアフォースワン機内で記者団の取材に応じ、「TikTokには、今後も存続してほしい」と述べた上で、中共政府が売却に同意するのであれば、対中関税の一部緩和を検討する可能性があることを示唆した。
TikTok売却の経緯と変化
トランプ氏は、1期目にも国家安全保障上の懸念を理由にTikTokの禁止を試みたが、当時は司法判断により実現には至らなかった。その後、米企業による買収交渉も行われたが、成立には至らなかった。2024年の大統領選挙期間中には、TikTokが若年層への支持拡大に貢献したと述べ、従来よりも柔軟な姿勢を示していた。
今回の猶予措置が終了する4月5日までに、中国資本から分離された形での売却が成立しなければ、TikTokに対する禁止措置が再び発効する見通しだ。ただし、トランプ氏は状況に応じて「期限のさらなる延長も検討する用意がある」とする。
有力買収候補と提案の現状
過去数か月間で、TikTokのアメリカ事業をめぐる買収交渉に、複数の有力な競合者が名乗りを上げた。
- ソフトウェア大手オラクルとブラックストーンを中心とする投資グループ
ベンチャーキャピタルであるアンドリーセン・ホロウィッツもこの投資連合に共同投資家として加わる意向を示し、外部資金の調達を進めていると報じられている。複数の関係者によれば、現時点でこの提案が最有力とされている。
- ブラックストーンによる別提案
ブラックストーンは、TikTokの既存非中資株主であるサスケハナ・インタナショナル・グループ(SIG)やジェネラル・アトランティックと連携し、買収を模索している。
- AIスタートアップ企業 Perplexity AI
Perplexity AIは TikTokアメリカ事業と自社の事業統合を含む合併案を1月に提示したとされる。
- フランク・マコート氏率いる投資コンソーシアム
Reddit共同創業者アレクシス・オハニアン氏を戦略顧問に迎え、ブロックチェーン技術を用いた新たなプラットフォーム設計を構想。200億ドルでの買収を提案している。
- Employer.com創業者ジェシー・ティンスリー氏が率いる投資家グループ
RobloxのCEOらと連携し、200億ドル以上の資金を確保した。TikTokを買収するにはおよそ250億ドルが必要になると見積もっている。
- その他の関心企業
トランプ氏によれば、マイクロソフトも関心を示しており、スティーブン・ムニューシン元財務長官や保守系動画プラットフォームRumbleも投資を検討しているという。
現在、TikTokおよび親会社バイトダンスは、交渉状況に関する公式なコメントを出していない。バイトダンスは以前、TikTokの売却を否定していたが、今後の方針転換があるかどうかは不透明である。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。