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中国国有企業の求人募集に非難が殺到 際立つ採用側と求職者の温度差=中国

2025/04/16
更新: 2025/04/16

中国の就職難が再び浮き彫りになった。

経済の減速と雇用機会の減少により、若年層の間で深刻な就職氷河期が続く中、原子力発電を主な事業とする中国の国有企業・中国核工業集団公司(以下、中核集団)が実施した新卒採用が最近、話題になった。

なんと、採用枠1730に対し、約120万通もの履歴書が殺到したという。

従業員数は約18万人を抱える中国核工業集団公司は5日、春季の採用報告をSNSで発信。「119万6273通の高品質な履歴書を受け取った」と誇らしげに述べ、目が星になった顔文字まで添えて喜ぶ様子を見せた。

しかしこの投稿は、深刻な就職難に直面する若者の怒りを買い、ネット上で大炎上した。

「求職者の痛みを企業の自慢にするな」「人々の苦悩を見下している」などの非難が殺到し、世論の批判の高まりを受け、同社はやむを得ず「自慢投稿」を削除した。

この件に対しては、一部メディアや専門家も問題視しており、「120万の若者への集団的な嘲笑だ」「企業にとっての名誉ではなく、国家の恥だ」といった批判の声が絶えない。

 

中核集団による「問題」投稿(スクリーンショット)

 

中国の国家統計局によれば、2025年2月時点での非在学若者の失業率は16.9%だが、中共の発表した数字は美化された数字である可能性が高く、専門家によって実情は失業率はもっと高いと見ている。

2023年7月、北京大学経済学部の張丹丹副教授は中国メディア「財新」のオンライン記事のなかで、家で何もする事もなく寝そべっている(躺平)ような未就業の学生1600万人が統計に含まれていたら、失業率は46.5%に達した可能性があると指摘した。この記事は掲載後削除されている。

こうした就職難にさらに追い打ちをかけるのが、最近激化する米中の関税応酬だ。

米国は中国からの輸入品に対する追加関税を発表し、中国も対抗措置をとった。こうした関税戦は中国の輸出産業に打撃を与えるのは確実、結果として、製造業まど若者の主要な就職先の雇用縮小が避けられず、失業率はさらに上昇する可能性が高い。

台湾大学の経済学教授・樊家忠氏は先月下旬にエポックタイムズの取材に対し、「大規模な若者の失業は社会の不安定化を招き、無差別な暴力事件の増加にもつながる」と警鐘を鳴らしている。

中国核工業集団公司の一件は、企業が一時の成果として誇った「数字」の裏に、数百万の若者の焦燥と絶望があることを可視化した。

経済の失速と外交リスクの中、中国の若者たちにとって「明るい未来」はますます遠のいている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!