台湾のシンクタンクや公益団体が主催する若者向けの連続企第、100回記念イベント画「水曜青年デー」が9日に開催され、「世界における台湾の窓口――駐外使館の舞台裏」をテーマに、経験豊富な元外交官らが現場の実情を語った。
台湾は、1971年に国連を脱退して以降、多くの国と正式な外交関係を結んでいないため、いわゆる「非公式な大使館」にあたる駐在機関を通じて、文化・経済などの交流を地道に続けてきた。
イベントの冒頭で司会を務めた王文岳(おう ぶんがく)・国立暨南(きなん)国際大学教授は、「正式な国交がなくても、台湾の外交官たちが、世界各地で日々努力を重ねている。今回は、その努力を少しでも知ってもらいたい」と語った。
元在オランダ台湾大使で、現在は、台湾民主基金会副執行長を務める李光章氏は、自らの外交経験を「瞧(見る)、橋(つなぐ)、巧(工夫する)」の三つの言葉で表現。「台湾外交官には、あきらめる選択肢はない。台湾の価値を伝えるために、創意と柔軟さが必要だ」と力を込めた。
また、同氏は「台湾は世界にとって善き力となりうる存在だ」と述べ、政治的な困難を抱える中でも、平和的に国際社会に貢献する姿勢を強調した。
続いて登壇したのは、元・日本台湾交流協会(日本の事実上の駐台機関)で外交分析を担当した政治大学の石原忠浩准教授。日台関係の研究と政策提言に携わってきた経験を踏まえ、「自由や民主主義を共有する者同士の交流は、非常に意義深い」と語った。
石原氏はまた、「日本では、石破茂首相が親中派と思われがちだが、実際は何度も台湾を訪問し、安全保障や台湾海峡の安定についても深く関心を持っている」と補足し、日台関係の実像を紹介した。
韓国の駐台機関である韓国代表部からは、外交官の金建希氏が登壇。韓国が台湾で行っている取り組みについて、「政務、領事業務、文化交流、経済協力の4つが主な柱」と説明し、K-popイベントやビジネス支援、在台韓国人への対応など、幅広い役割があることを紹介した。
台湾聯合(れんごう)国協進会の林逸民(りん いつ みん)理事長は、
「世界の目が台湾に向き始めている今こそ、若い世代が国際社会に目を向けるべきだ」
と呼びかけ、
「台湾が正式な国連加盟国ではなくとも、各地の外交官や団体が声を届ける努力を続けている」
と、述べた。
主催団体である台湾シンクタンクの世論調査センター主任、郭玫岑(かくばいしん)氏は、
「外交のリアルを知ることで、若者が国際社会に関わるイメージを具体的に持てるようになる」
と語り、11日にはこれまでの100回分の活動成果を発表する予定だと明らかにした。
イベントの終盤では、
「台湾の国際的な存在感をどう高めていくか」
「非公式な外交の意義とは何か」
「外交官になるための準備とは」
など、参加者との活発な質疑応答が行われた。
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