北京は最近、フィリピンにおけるアメリカのタイフォンミサイル発射装置の配備を、紛争を引き起こす危険な動きだとして非難した。共産党政権の怒りは、抑止力を恐れていることを示している。

北京が抗議を起こした直接的なきっかけは、2024年2月中旬のニュースで、アメリカが前月にルソン島の未公開地点にミサイル発射装置を移動させたというものだった。

ワシントンは2024年4月、タイフォンミサイルシステムを演習のために配備したが、冷戦以来、アメリカ領土外に中距離の陸上発射装置を配備したのはこれが初めてだった。

しかし、アメリカは現在、この武器をさらに内陸に移動させており、即座に本国に戻す計画はない。

したがって、これらのミサイル発射装置は事実上、アメリカの使用のためにフィリピンに残ることになる。これが、北京にとってこれらの発射装置が目の上のたんこぶとなっている理由だ。

タイフォンは、1千マイルの射程を持つトマホーク巡航ミサイルと、290マイルの射程を持つSM-6を発射できる。フィリピンから発射すれば、南シナ海やフィリピン海のほとんど、さらには中国の南部および東部戦区の多くの地域をカバーできる。これにより、中国の主要な海軍基地のほとんどが射程圏内に収まる。

タイフォンのような陸上発射システムは、迅速に反応し、陣地を守るため、抑止力として安定した基盤を作る。

この戦略の基盤となっているのは、台湾やフィリピンを通り、ボルネオに至る第一列島線であり、これは中国海軍の進出を制限し、アメリカとその同盟国が太平洋を監視するのを助ける戦略的障壁だ。中国政権がこの線を突破すれば、日本やオーストラリアに対する力の投射へのアクセスを得ることになり、地域のバランスが変わる。

今年2月、中国の実弾海軍演習がオーストラリアとニュージーランドの間の海域で行われたことは、政権の野心をさらに示している。弾道ミサイルを搭載したこの演習は、数十便の商業便を妨害し、航空会社は急遽ルート変更を余儀なくされた。

ホワイトサンズ・ ミサイル実験場で実証されたタイフォンは、移動する地上目標を撃破でき、海上輸送によって迅速に移動できるため、アメリカ軍に沿岸および水陸両用のシナリオで優位性をもたらす。

北京がタイフォンの配備を深刻なエスカレーションだと呼んでいる一方で、分析家たちは南シナ海における中国政権の領土的な動きや侵略が緊張を高めている要因だと指摘している。フィリピンへのタイフォンシステムの配備は、このような行動の結果を際立たせているに過ぎない。

アメリカはフィリピンだけで止まらず、日本は、タイフォンとダークイーグル極超音速兵器を搭載した多領域任務部隊を受け入れると予想されている。このシステムは、マッハ5を超える速度で1700マイル以上を移動でき、迎撃がほぼ不可能だ。

日本の首脳たちはすでにこれらのシステムをアメリカで視察しており、より密接な軍事協力の兆しを示している。もし日本に配備されれば、同国のアップグレードされた12式対艦ミサイルや高速滑空兵器とともに、中国の船舶を東シナ海から台湾海峡に至るまで警告することになる。

フィリピンと日本の第一列島線に沿って配置されたタイフォンとダークイーグルは、台湾海峡の北端と南端を挟み込み、その防衛ライン全体をカバーすることになる。中国の高価値なターゲット、指揮所や海軍資産などは、アメリカの艦船からの直接支援なしでも瞬時に攻撃する可能性がある。

このネットワークの背後には、第二列島線と第三列島線があり、日本からグアム、さらにはハワイやニュージーランドに至り、北京のインド太平洋地域への進出をさらに制約する層状の防衛を形成している。

これらの配備は、攻撃のコストを高めて紛争を防ぐことを目的としており、北京の批判は、このメッセージが伝わっていることを示している。