「世界の工場」としての中国が終わりを迎えようとしている。
米中の関税応酬が激化するなか、歴史が最も長く規模が最大の総合性国際貿易祭典である「第137回中国輸出入商品交易会(以下、広交会)」が15日から中国で開幕した。
毎年春と秋に開催する同会は、中国の貿易の「バロメーター」「風見鶏」とされており、5月4日まで開催予定。
「広交会」について、中国官製メディアは「大盛況」と宣伝し、「国際貿易情勢が荒れる中、広交会の多くの出展業者とバイヤーは、中国の貿易の強靭性と自信を示す」などと報じた。
しかし、実際にはどうか。
「今年は例年とは明らかに違う、人が少ない!」という印象を受ける人が多いと、エポックタイムズによる現場での取材で明らかになった。
現場では「会に参加したのは『うちつぶれていませんよ』と存在感を示すためで、新規顧客の開拓にもあまり期待せず、すべては運次第だ」という出店企業も少なくない。

厳しい国際情勢
今年は例年とは国際情勢がかなり異なり、アメリカが中国に、追加関税145%を課すと発表したことを受け、アメリカのバイヤーの来訪は激減した。
公式データでは、今回の広交会には約3万1千社の企業が出展した。4月8日時点で来た海外バイヤーの数は約17万人と、前年11月より3割減った。とりわけ欧米バイヤーの数は、全体の10%に留まり、前回の半分にも届いていなかった。
業界関係者によると、中国政府は毎年、外国企業の招致に多くの労力を費やしていると言う。
ロイター通信によると、広交会に参加した多くの中国メーカーは、「アメリカからの注文は延期されるか、直接キャンセルされた」と明かしており、なかには、「アメリカ市場は凍結された」と表現する企業さえあったと言う。
売り上げの7割をアメリカ市場に依存する医療機器メーカー「康茂電子(Conmo Electronic Co.)」の市場マネージャーの李さんは「今は出荷できず、資金も回収不能、もはや生死に関わる問題」と切迫感を語った。
李さんはさらに、「会社はすぐに市場を切り替えることができない、このまま膠着状態が続けば、従業員は失業するだろう」と嘆いている。
浄水器メーカーの「深圳藍盾環保(Shenzhen Landun Environmental Technology)」のセールスマンの黄さんも「アメリカ市場はほとんど停止した」と語り、こうした厳しい現状を受け、多くの企業は、東南アジアへの市場転換や現地生産を模索している。
ベトナムやフィリピンなどの製品もすでにアメリカの関税リストに加えられて、先行きも見えないため、実質的な逃げ道はほとんど無いと言う。

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