16日、再生担当赤沢亮正経済相は、米ワシントンを訪れ、ベッセント財務長官と日米間の関税交渉に臨む。今回の協議では、自動車および農産品が主要な争点となり、両国の貿易摩擦解消に向けた重要な局面を迎えることになる。
アメリカは、現在、日本からの輸入品に対し、24%の追加関税を設定している。さらに、現在90日間の停止措置中ではあるが、10%の相互関税に加えて、自動車、鉄鋼、アルミニウムに対して25%の関税も課すと言う。こうした状況に対し、日本の産業界からは、早期の見直しを求める声が高まっている。
赤沢氏は、15日の記者会見で、アメリカによる追加関税の「完全な撤廃」を目指す方針を改めて強調。「アメリカの理解を得るために、あらゆる交渉ルートを探る」と述べ、信頼関係の構築を重視しつつ、関税措置の見直しを強く求めていく考えを示した。
中国製品の「迂回規制」も議題に浮上か
複数の米メディアによれば、トランプ政権は交渉相手国に対し、中国製品の迂回輸出を制限する措置を求める方針を検討している。今回の協議でもこのテーマが議題に上がる可能性があり、さらにトランプ氏は、日本の自動車安全基準やコメ流通制度について、「非関税障壁」と位置づけ、これまでの交渉で繰り返し批判してきた。
米通商代表部(USTR)が公表した2025年版の『外国貿易障壁報告書』では、コメ、ニシン、サーモンなどに課されている高関税が取り上げられ、日本の農産品に関する市場参入の難しさを問題視してきた。
こうした状況のなか、日本側でも見直しの動きが見られ、財政制度等審議会は、15日の分科会で、コメの安定供給のため、輸入米の活用拡大を提言した。農産品をめぐる攻防は今後さらに激化する見通しであり、関税だけでなく制度面での対応も、交渉の行方を左右しそうだ。
為替・制度改革も論点に 「国益最優先で戦略的交渉」
赤沢氏は、自動車や農産品に加え、非関税措置や為替政策に議論は及ぶ可能性があるとした上で、「国益を最優先に、戦略的に交渉を進める」と述べた。
今回の協議は、日米間の経済関係をより強固にすると同時に、相互利益を追求するための重要な機会となり、交渉の行方は、両国の通商関係にとどまらず、グローバルなサプライチェーンや国際経済全体にも、大きな影響を与える可能性がある。赤沢氏の交渉手腕とその成果に、今後ますます注目が集まるだろう。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。