米中で貿易摩擦が過熱するなか、中国の輸出業界は、深刻な危機に直面していた。かつて「世界の工場」と称された中国だが、その繁栄は、今や急転直下の衰退へと向かっている。
中国税関総署の担当者は、「中国の輸出は確かに複雑で厳しい対外状況に直面した」と認めつつも、「なにも天が落ちるわけでもあるまい」と述べている。
いっぽうで、この税関当局の「天が落ちない(中国語:天塌不下來)」の発言に対し、現場からは「いいや、天は落ちた」と反論の声が多く上がっている。
輸出業界の嘆き「天が落ちた」
アメリカからの注文は、キャンセルが相次ぎ、外国への輸出に依存してきた中国各地の企業が相次いで操業停止に追い込まれ、労働者の大量失業が現実化した。
香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は、中国のある上場企業の従業員の話を引用して報じたところでは、アメリカが課した相互関税の影響により、同社がアメリカ向けに出荷するコンテナの数が激減している。過去には1日あたり40~50個であったものが、いまでは3~6コンテナに減り、全工場で受注がすべて停止したと言う。
(全面停止した中国の工場内の様子)
輸出急増は「回光返照(死に際の輝き)」
中国税関総署(14日)によると、3月の輸出額が前年比12.4%増と好調だったと発表した。だが、実態は、アメリカの新関税発効前の「駆け込み出荷」にすぎない。
時事評論家の李林一氏もエポックタイムズの取材に対し、「3月の輸出好調は回光返照であり、一時的現象にすぎない。中国の輸出業は事実上ほとんど崩壊した」と指摘した。
中国学者の彭宏文氏は、米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア」に対し、「米中関税戦は今後、長く続く可能性が高く、金融戦を含む全面的な経済戦争に発展するかもしれない」と予測し、外需が崩れ、内需も不振な中、中国経済の先行きは極めて暗いと述べている。
(失業し帰郷する労働者たち、浙江省寧波市、2025年4月12日投稿画像)
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