【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

トランプ政権 関税戦略で「中共孤立化」加速

2025/04/17
更新: 2025/04/17

トランプ政権は、関税交渉を通じて各国に対し、中国との取引制限を求め、中国経済を国際社会から切り離す新たな戦略を展開した。この方針により、米中貿易摩擦は一段と激化し、世界経済にも広範な影響が及んでいる。

ウォール・ストリート・ジャーナルは4月15日、政権関係者の情報を基に、アメリカが関税交渉を利用して、貿易相手国に対して、中国との取引制限を強要する方針を進めていると報じた。

トランプ大統領は、インタビューにおいて、各国に米中いずれかとの連携を選択させる可能性を示唆した。

この動きの目的は、アメリカの貿易相手国に、中国共産党政権から距離を取らせ、アメリカが貿易や関税面で、見返りとして、彼らからの譲歩を得ることである。

70カ国以上との交渉機会を活用し、中国企業による第三国経由の貨物輸送や、対米関税回避のための、中共による現地生産拠点設立を、アメリカ当局は阻止しようとし、さらに中国製の低価格工業製品が、各国経済に流入する事態を回避するよう求めている。

報道によれば、これらの措置は、中国側の交渉姿勢を弱める狙いを持ち、各国の対中依存度に応じて、具体的な要求内容は調整される見通しである。

政権関係者によると、アメリカはすでに一部の国との初期段階の交渉において、この方針を提示し、また、トランプ大統領も15日、パナマの「一帯一路」構想離脱に関連して、FOXニュースのスペイン語番組「Fox Noticias」で、各国に対して、米中いずれかの陣営を選択させる構想を語った。

ホワイトハウスおよびアメリカ財務省は、ウォール・ストリート・ジャーナルのコメント要請に応じていない。

財務長官、対中経済孤立化戦略を主導

この戦略の中心に位置するのは、財務長官スコット・ベッセント氏である。4月9日、トランプ大統領が中国を除くほとんどの国に対する相互関税を90日間停止すると発表した直後から、ベッセント氏は貿易交渉において、主導的な立場を取った。

関係筋によれば、ベッセント氏は、4月6日にフロリダ州マールアラーゴで行われた会議において、大統領にこの戦略を提案した。

彼は、アメリカの貿易相手国に対する圧力を強化することにより、中国および中国企業によるアメリカの関税・輸出規制回避の試みを封じるべきだと主張した。

この方針は、ベッセント氏が掲げる「中共経済孤立化戦略」の一環であり、彼の構想は、米中経済の分断を関税で進めるだけでなく、中国関連企業の株式をアメリカ市場から排除する措置も含まれている。

最近のFOXビジネスとのインタビューにおいて、ベッセント氏は、中国関連株の上場廃止を選択肢から除外しない方針を明言した。

現在、トランプ政権内では、ベッセント氏の戦略に同調する官僚の数が増加している。

米中、再び交渉のテーブルに着く可能性も

二度にわたる報復関税の応酬を経て、アメリカは、中国からの輸入品の大半に対し145%の関税を課し、中国側もアメリカ製品に125%の関税を課した。

アメリカ政府は、米中間での貿易協定に依然として交渉の余地があると見て、4月15日、ホワイトハウスのレビット報道官は、トランプ大統領の対中関税政策に関する最新声明を記者団に読み上げ、「ボールは中国側にあり、アメリカは急いでいないが、中国側はこの協定を必要としている」と強調した。

ベッセント氏も、著名ジャーナリストのタッカー・カールソン氏とのインタビューで、中国がアメリカ市場を必要としており、「アメリカ市場なしでは中国は生き延びられない」と語った。

さらに、中国は貿易を通じて、アメリカから巨額の資本純流入を得ており、それがなければ国家経済は持ちこたえられないと述べた。

レビット報道官によれば、トランプ大統領は現在、少なくとも15件の貿易協定案について「積極的に」検討しているという。

中共の対応能力に限界

中共は、独自の貿易外交路線を模索している。習近平党首は今週、東南アジア歴訪を開始し、ベトナム、マレーシア、カンボジアを訪問した。中国はアメリカの関税政策に対抗し、東南アジア諸国との経済連携を強化する構えだ。

ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によれば、元国家安全保障会議および国家経済会議のシニアディレクター、ピーター・ハレル氏は15日、ジョージタウン大学ロースクールでのパネルディスカッションにおいて、「中国は、アメリカの貿易政策に、有効な対処能力を欠いている」と語った。

加えてハレル氏は、「中国が多くの発展途上国にとって製品需要の源になることはありえても、アメリカの役割を代替することはない」との見解を示した。

夏雨