中国河北省三河市で今年3月から、行政当局が突如、商業施設の看板における「赤・黒・青」色の使用を禁止し、緑色だけの使用に統一しようと、強制していたことがわかった。
当局は「赤・黒・青でなければ何色でもいい」と公に主張しているが、多くの商店主は、看板の塗り替えを「指導」される際は「緑」と指定されていたと証言している。もちろん、塗り替え費用は店側持ちで、言う通りにしないと罰金だと脅していたと言う。
当局による努力の甲斐もあり、その結果、街じゅうの看板が「緑」に統一されるという異様な光景になった。
「緑被害」は、国際的に認知されている「赤十字」や、法定の配色が定められている公安の警徽(警察バッジのシンボルマーク)にまで及んでいる。
市民やネットユーザーから「権力の暴走」「色彩独裁」「色の粛清」と非難が噴出し、この異常事態には、「緑化運動」などとも揶揄され、「消防車も緑になるのか」といった皮肉も飛び交った。

一部「是非」
赤い看板がトレードマークの中国の有名ハンバーガー・チェーン「タスティン(塔斯汀)」や中国の人気飲料チェーン「蜜雪冰城」の看板も強制的に緑や灰色に変えさせられる事態に陥り、「本家ではなく、偽ブランドだ」と客が勘違いするほどとなった。
町の「前代未聞の光景」に市民の困惑が広がり、商店主側も強制された(それも自腹)ことに憤慨している。
騒動がSNSで拡散されると、当局は一部方針を修正。「蜜雪冰城」は元の赤い看板に戻されたが、他の店は今も緑のままだ。もちろん、塗り直し費用は店舗持ちだ。
民間の店の看板ならともかく、警徽の色まで塗り替えとなれば深刻だ。専門家が「公安部の規定違反」と断じたため、後からバッジの色はもとに戻した。関係する広報資料を削除したが、取材には不透明な対応が続いた。

こうした「看板色規制」の政令は「市街地整備計画」の名目で進められたが、当局は正式な文書も発表せず、現場では口頭での指示のみだ。
波紋が拡大する中、4月15日、三河市の「主要責任者」の免職処分を公表した。しかし免職者の名前や具体的な処分内容は伏せられたままで、責任の所在に関する説明もなかった。
結局、「なぜ赤・青・黒の三色はダメなのか」市民の素朴な疑問に対する政府側の説明はないまま、今日に至っている。
民間では「役人の風水思想や紅色忌避の影響ではないか」と推測する声が多い。
同様の「色統一」は、過去にも上海や河北省滄州などでも行われたことがあり、こうした権力の濫用による一方的な政策が、市民生活に不安と混乱をもたらした。

ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。