トランプ米大統領は16日、ホワイトハウスで来訪中の赤沢経済再生相らと会談し、貿易に関する協議を行った。会談後、SNSトゥルース・ソーシャルに「日本の貿易代表団とお会いできて大変光栄だった。大きな進展があった」と投稿し、協議が前向きに進んだことを強調した。
協議には、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官が同席。日本側からは赤沢亮正・経済再生担当相が出席し、防衛費負担や貿易の公平性といったテーマが中心的に議論された。
トランプ氏は会談の中で、国際経済におけるアメリカの現状と関税政策に関する考えを率直に伝え、「日本との協議は最優先事項だ」との認識を示したという。これに対し赤沢氏は、会談後の記者団の取材に対し、「双方が率直かつ建設的に協議に臨んだ。可能な限り早期に合意し、両首脳による発表ができるよう調整を進める」と述べ、今月中にも第2回会合の実施を目指す方針を明らかにした。
日米両国は第二次世界大戦後から安全保障条約に基づく同盟関係を築いており、現在も数千人規模の米軍が日本に駐留している。トランプ氏は「日本とアメリカ双方にとって良い(素晴らしい)結果が得られることを願っている」と投稿し、関係強化に前向きな姿勢を示している。
トランプ氏は今月2日、全世界のほぼすべての国を対象に、一律10%の関税を新たに導入すると発表。加えて、日本、ベトナム、EU、中国など一部の主要貿易相手国には、相互主義に基づく追加関税を課す方針を示した。のちに、これらの国のうち中国を除くすべての国に対して、追加関税の適用を90日間停止すると発表している。中国に対しては、総合計で245%に上る関税が課される見通しだ。
こうした動きについて、トランプ氏は「中国による長年の不公正な貿易慣行がアメリカ経済に深刻な影響を与えている」と主張。中国共産党政権も、報復措置として米国製品への関税を引き上げている。
日本は猶予措置の発表以前、米国からの24品目を関税対象とされており、特に自動車などの主要輸出品には、10%の基本関税に加えて25%の追加関税が引き続き適用されている。
日本政府の対応について、石破茂首相は14日の会見で妥結を急がない考えを示した。「急いては事を仕損じるということだと思う。どんどん妥協する、とにかく交渉さえまとまればいいという方針が望ましいと考えていない」と述べ、大幅な譲歩には応じない方針だ。ただし、米国の関税強化に対して日本が報復措置を講じる考えはないとした。
トランプ氏はかねてより、米国の貿易赤字を問題視し、日本を含む各国が通貨政策や貿易慣行を通じて米国企業に不利な状況を生み出していると批判してきた。今回の関税措置についてホワイトハウスは、「国家安全保障の確保」と「米国内製造業の再建」が主な目的であると説明している。
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