アメリカのトランプ政権は現在、約70か国との通商交渉の中で、中国との経済関係を縮小するよう求める条件を盛り込む方針を検討しているという。複数の米メディアが伝えた。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アメリカは関税の引き下げと引き換えに、各国に対して中国との貿易・経済関係の削減を求めている。ホワイトハウスの関係者は大紀元対し、「報道内容を確認はできないが、完全には否定もしない」と述べ、戦略の詳細については明かさなかった。
また、中国製品の迂回輸出の禁止を各国に要請しているとされる。迂回輸出とは、中国製品を他国で最小限の加工、あるいはラベルを変えるだけでアメリカに輸出される行為のこと。関税回避の手段として問題視されている。
さらに。中国企業がアメリカの関税を回避するために生産拠点を第三国に移すことを防ぐ措置や、中国製の低価格品が各国市場に大量流入するのを阻止するよう各国に求めているという。このような要請に応じる形で、すでに対策に乗り出している国も出てきている。
トランプ氏は4月2日、世界のほぼすべての国を対象に10%の一律関税を導入すると発表。加えて、日本、ベトナム、EU、中国など主要貿易国には、相互主義に基づいた追加関税を課す方針を示した。後に、交渉に前向きな姿勢を示す国に対しては、追加関税を90日間停止すると発表。ただし、中国に対しては猶予措置を適用せず、報復関税を行ったことを理由に高関税を継続するとしている。
現在、多くの中国製品に対するアメリカの関税率は145%に達しており、EVや注射器など一部の品目については、最大245%の関税が適用されている。ホワイトハウスによると、これらは相互関税、中国からのフェンタニル原料への対策関税、そしてトランプ政権およびバイデン政権下で発動された通商法301条に基づく制裁関税(約7.5%〜100%)が重なった結果だという。
4月15日の記者会見で、ホワイトハウスのレビット報道官は「ボールは中国側にある。彼らの側に合意の責任がある」と語った。さらに、「我々が中国と取引する義務はない。他の国と特別な違いがあるわけではなく、彼らがより大きいというだけだ」と述べ、中国経済がアメリカの消費者に依存していると指摘した。
また、トランプ氏はスペイン語放送「フォックス・ノティシアス」のインタビューで、中共の「一帯一路」構想からパナマが離脱を決めたことに言及し、「他国にアメリカか中国かの選択を迫ることもあるかもしれない」と述べた。
今年2月、パナマは中共主導のグローバルインフラ構想「一帯一路」からの離脱を発表。中共にとっては痛手となった。
これを受け、中共は近隣国との関係強化に向けた外交攻勢を強めている。習近平は4月14〜15日にベトナムを訪問し、「一方的ないじめに抵抗すべきだ」と述べ、ベトナムに対して中国との経済協力を深めるよう呼びかけた。
さらに、4月11日にスペインのサンチェス首相を北京に迎え、「貿易戦争に勝者はいない」と強調。中国と欧州連合(EU)が協力し、グローバリゼーションを守るべきだと訴えた。
一方、4月16日、トランプ氏はベッセント財務長官、ラトニック商務長官と共に、赤沢亮正・経済再生担当相と会談を行った。会談後、トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「日本の代表団に会えて大変光栄だった。大きな進展だ」と投稿し、日米間の早期合意に期待を示した。
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