東京商工のリサーチ調査によると、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復が進む中、ホテル業界がかつてない好調を見せている。2024年10~12月期の国内上場ホテル運営13社(15ブランド)を対象とした調査によれば、客室単価と稼働率はいずれも前年同期を上回り、過去最高水準を記録した。背景には、インバウンド(訪日外国人旅行者)需要の急回復と国内旅行需要の高まりがある。
調査によると、2024年10~12月期の客室単価は、コロナ禍と比較可能な12ブランド(11社)で平均16,289円となり、前年同期比で17.8%増加した。コロナ禍で最安値だった2021年の平均8,171円からは99.3%増と、ほぼ2倍に達している。12ブランドすべてが2023年の客室単価を上回り、過去最高を更新したホテルも相次いだ。
稼働率も高水準を維持している。2024年10~12月期には、12ブランドすべてで70%を超え、7ブランドが80%以上という絶好調ぶりを示した。特に、インバウンド需要の高い都心部や地方都市で顕著な伸びが見られた。ビジネスホテルでは、2024年同期の稼働率が82.2%となり、シティホテルでも80.4%と高い水準に回復している。
この好調の要因として、2022年秋以降の水際対策緩和による外国人観光客の急増が挙げられる。日本政府観光局によると、2025年2月の訪日外国人数は前年同月比16.9%増の325万8,100人で、2月として過去最高を記録した。2024年1月から11月までの訪日外国人旅行者数は約3,338万人と、過去最高を更新している。
また、円安の進行が訪日旅行のコストパフォーマンスを高め、インバウンド需要をさらに後押ししている。加えて、コロナ禍で抑えられていた国内旅行需要の反動や、全国旅行支援など政府による観光促進策も、ホテル業界の回復を支えている。
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