米中貿易戦争が激化する中、中国共産党(中共)は国内航空会社に対し、納入待ちの米国・ボーイング機の受け取りを一時停止し、米国企業からの航空機関連部品や設備の購入も停止するよう指示した。これに対し、トランプ大統領は中共を「契約破棄」と非難した。
4月15日、ブルームバーグによると、中共は中国の航空会社にボーイング機の受け取りを停止するよう命じ、さらに米国企業からの航空機関連設備や部品の購入も停止するよう要求した。
関係者によれば、先週末に中共が米国製品に125%の報復関税を課した後、ボーイング社に対する命令が下された。これにより、米国製の航空機や部品の購入コストが2倍以上に跳ね上がり、中国の航空会社はボーイング機を受け取れなくなる見込みだ。
アメリカのセントトーマス大学国際研究講座の葉耀元教授は「ボーイングは当然、行政訴訟を起こし、契約に基づいて違約金を請求する権利がある。もしその違約金が最終的に回収されたとしても、これらの航空会社にとっては完全な損失となる。また、これらの企業は時には拒否できない場合もある。国際ビジネスを行うためには、アメリカとの企業信用が損なわれると、他国とのビジネスも難しくなるからだ」と述べている。
台湾国防安全研究院の蘇紫雲所長は「これは中共にとって大きなダメージだ。米国は一時的に中国との取引を失うかもしれないが、中国国内には多くの航空会社がボーイング製品を使用している。後続の部品も含めて、継続が難しくなるだろう。したがって、中共は今後エアバスシステムの調達に切り替える可能性が高い」と指摘した。
葉耀元氏は「アメリカにも影響はあるが、ボーイングの市場は非常に広大だ。中国市場を失うのは確かに痛手だが、他の地域で徐々に補填できる。しかし、中国が面子を重んじてボーイングとの取引を拒否すれば、長期的にはより大きな経済的圧力を招くことになる」と述べている。
アメリカ政府はすでに、中共によるボーイングへの措置を注視し、対抗策を検討していると発表。トランプ大統領は15日、SNSで中共がボーイングとの重要な契約に違反したと非難し、解決策を模索すると述べた。
蘇紫雲氏は「おそらくトランプ氏はボーイングと調整し、新たな買い手を見つけるだろう。米国に依存する中小国が受注先となる。航空市場は世界的に拡大しているため、他の市場で中共市場を代替することになる」とコメントした。
中共の対抗措置について、ホワイトハウスのレビット報道官は「ボールは中国(中共)の手の中にある。彼らは我々と取引しなければならないが、我々が彼らと取引する必要はない。中国(中共)は我々が持つもの、そしてどの国も欲しがっているもの、つまり米国の消費者を求めている。言い換えれば、彼らは我々のお金を必要としているのだ」と述べた。
葉耀元氏は次のように語った。「現段階では、トランプ氏の言う通り、中国は米国をより必要としている。もし中国(中共)がアメリカを排除し続ければ、両国間のデカップリングは航空業界にとどまらず、あらゆる業界で進行し、中国にとっては百害あって一利なしだ」
レビット報道官は「トランプ大統領は再び、対中合意にオープンであることを明言し、中国側が自ら米国と合意する必要がある」と語った。
蘇紫雲氏は「トランプ大統領の戦略は正しい。中共を抑え込むことが肝要だ。ただし、戦術面では柔軟性が求められ、そうすることで二次的な競争貿易パートナーと連携し、中共の主要な貿易脅威に立ち向かうことができる」と述べ、「中共が、口では強気でも、実際には約2千万人の失業率に耐えられるかが鍵だ。トランプ氏はその点に賭けている。アメリカのシンクタンクは、完全にデカップリングすれば中共は2千万人の失業者を出すと分析している。あとは習近平の判断次第だ」と指摘した。
バーンスタイン・リサーチによると、現在ボーイングの在庫には、今年中国の顧客に引き渡される予定だった737 MAXが27機ある。もし中国側が受け取りをキャンセルまたは延期すれば、キャッシュフローの損失は12億ドルに達する可能性がある。
中国市場はボーイングにとって極めて重要だが、実際にはボーイングの中国での市場シェアはすでに大きく低下しており、2018年の40%から現在は16%にまで減少している。
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