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備蓄米21万トン放出しても9割はJA全農が落札 流通は1%止まり

2025/04/18
更新: 2025/04/18

18日の記者会見で、江藤拓農水相は、2025年3月30日までに政府が放出した備蓄米のうち、落札業者から卸売業者に引き渡された量が2761トンであったと発表した。これは、これまでに売却された備蓄米の総量約21万2132トンのわずか1%程度にとどまった。

また、卸売業者への販売価格は、玄米60キログラムあたり平均2万2402円(税抜き)だった。2024年産米の相対取引価格(昨年9月〜今年2月、全銘柄平均)は税込2万4383円であり、備蓄米の価格はほぼ同水準とみられる。

政府は、2024年産米の供給不足と価格高騰を受け、流通の安定化と価格抑制を目的に、保有する備蓄米の市場放出に踏み切り、これまでに2回の入札を実施し、合計21万2132トンを市場に供給した。入札対象は、年間玄米仕入量5千トン以上かつ販売契約を有する集荷業者に限られた。

第3回入札は、4月23日から25日に実施される予定であり、農水省は今回の入札で2023年産米10万191トンを売り渡すと発表した。

流通の遅れと地域格差が課題

放出量は増加しているものの、実際の流通は、遅れがちである。中小スーパーからは「入荷は早くても4月末、遅ければ5月」との声が上がっており、落札業者もJA全農などの大手に偏っていた。

備蓄米は、JA全農が大部分を落札し、1回目に放出された備蓄米約14万トンの内、約13万トン、2回目放出された約7万トンの内、約6万トンと全体の9割の備蓄米を確保した状況だ。

大紀元は、JA全農に流通させるタイミングや、価格を決定する目安となる「概算金」などについて質問したが、当記事が掲載されるまでに返事は得られていない。

その他、備蓄米の保管倉庫が、東日本に集中していることも流通が遅れている原因とみられ、地域格差への懸念も強まっている。江藤大臣は、4月15日の会見で、「全国に均等に備蓄米が行き渡るような工夫を検討する」と表明した。

また、現在の入札制度では、落札業者に対し同等量・同品質の米を買い戻す義務が課されており、これが中小業者にとって参加の障壁となっているとの指摘もあった。

農林水産省によると、2025年3月31日〜4月6日の米5キロの平均店頭価格は4214円で、14週連続で上昇し、過去最高を記録した。現時点では、備蓄米の放出による価格抑制効果は限定的だと言う。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。