アメリカ国務省は17日、中国の長光衛星技術がイエメンのフーシ派に衛星画像を提供し、紅海における米軍艦への攻撃を支援していると表明した。中国企業による軍民融合の動向や国際的な安全保障への影響が改めて浮き彫りとなっている。
同日付の『フィナンシャル・タイムズ』は、アメリカ当局者の話として、中国共産党(中共)軍と関係を持つ長光衛星技術有限公司(CGSTL)が、イランの支援を受けるフーシ派武装勢力に画像情報を提供し、紅海での米軍艦や国際船舶への攻撃に利用されている状況を報じた。
アメリカ国務省のタミー・ブルース報道官は、17日の定例記者会見において次のように述べた。「長光衛星技術有限公司は、イランの支援を受けたフーシ派によるアメリカ資産へのテロ攻撃を直接支えている事実を確認している」
さらに、「中国(中共)は世界の平和創造者という仮面をかぶっているが、実際には北京および中国企業はロシア、北朝鮮、イラン、そしてそれらの代理勢力に対し、経済的・技術的な支援を行っている」と語った。
ブルース氏は、アメリカ政府がこの問題に関して中共側と繰り返し接触してきたにもかかわらず、同社がフーシ派武装勢力への支援を継続している事実に触れ、「この行為は容認できない」と強調した。
さらに「アメリカは、いかなる主体によるフーシ派武装勢力や他の外国テロ組織への支援も一切容認しない」と付け加えた。
「中共の口先だけの平和支持を象徴」
長光衛星技術株式会社の公式資料によれば、同社は2014年12月1日に設立された中国初の商業リモートセンシング衛星会社である。吉林省政府、中国科学院長春光機所、民間資本および技術中核人員が出資した。
『フィナンシャル・タイムズ』は米国務省高官の話を引用し、「アメリカはCGSTLによるフーシ派支援について、中国政府に複数回にわたり非公式に懸念を伝え、行動を促してきた」と報じた。
同高官は、中共がこれらの懸念を無視している現状に言及し、CGSTLの行動および「ワシントンからの警告に対する北京の黙認姿勢」は、「中共の口先だけの平和支持を象徴している」と語った。
また、「パートナー諸国には、中共や中国企業の発言ではなく、その実際の行動によって評価するよう求めたい」と述べた。
長光衛星は、かつて中国軍事委員会副主席・張又侠の前で技術デモンストレーションを行った経歴を持つ。
パミール・コンサルティング社で中国軍事・情報部門を担当する専門家、ジェームズ・マルヴェノン氏は、『フィナンシャル・タイムズ』の取材に対し、「長光社は表向きには商業衛星会社とされているが、実態としては中共の軍民融合エコシステムに深く根ざし、民間・軍用の両方に対しグローバルな監視能力を提供している」と語った。
中共の軍民融合計画に参加する企業には、政府の要請に応じて軍事技術を共有する義務がある。
アメリカ政府と提携するブルーパス・ラボ(BluePath Labs)の中国防衛専門家、マシュー・ブルゼッセ氏は、CGSTLが中共政府、共産党、軍と「密接な関係」を築いている点を指摘した。2020年以降、同社は中共軍との関係について公言する頻度を減らしており、これは同社が軍とのつながりについて慎重な姿勢を取っている証拠とされる。
近年、アメリカ政府は中共軍と関係を持つ中国の多数の商業団体に対して制裁を実施している。
ブルゼッセ氏は、CGSTLが中共の高官に対して技術の応用可能性、特に軍事情報への応用を紹介し、張又侠を含む複数の軍高官の前で技術デモンストレーションを行った事実を明かした。
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