アメリカでは、1千人を超える国際学生が学生ビザおよび在留資格の取り消しに直面している。軽微な違反に関与した学生や、OPT(オプショナル・プラクティカル・トレーニング)制度を利用中の元留学生にも影響が広がり、多くの学生および大学が対応に追われる事態となった。
3月末以降、アメリカ国内の少なくとも160の大学および大学システムに所属する1024人以上の国際学生が、学生ビザの無効化や合法的な在留資格の喪失という状況に置かれている。名門私立大学、大規模な公立研究機関、小規模なリベラルアーツカレッジに至るまで、幅広い教育機関がこの問題に直面している。
特にインドおよび中国からの学生が大きな影響を受けており、両国の学生はアメリカに在籍する国際学生の過半数を占めている。しかし、今回のビザ取消処分は、これらの国に限らず、世界中のさまざまな国からの学生にも及んでいる。
ビザや在留資格の取消事由には多様なケースが含まれ、速度違反や駐車違反、交通罰金の未納といった軽微な交通違反も対象となっている。
ミシガン州にある2つの大学に通う4人の学生は、F-1ビザの資格喪失を理由として、アメリカ政府を提訴した。彼らの弁護士によれば、学生たちは明確な理由の通知を受けておらず、犯罪歴も存在しないが、過去に起こした交通違反がある。これを問題視した可能性が高いとみている。
訴訟を起こした学生の中には、ジョージア工科大学の博士課程に在籍し、5月5日に卒業予定の者も含まれている。同大学からの内定を得ているが、過去に友人に貸した車が交通違反を起こし、その罰金が未納であったため、合法的な身分を失うリスクを抱えていると弁護士が指摘する。
多くの大学関係者は、自校の学生の在留資格状況を国土安全保障省のデータベースを通じて初めて把握しており、予期せぬ通知に困惑している。
従来、大学が学生の退学などの情報を政府に報告し、その後に資格の見直しが行われてきたが、現在では政府が独自に調査を実施し、資格を取り消す事例が増加している。
ビザ取消の主な理由には、暴力犯罪、飲酒運転、テロ支援、滞在期間の超過、違法就労、ビザ条件違反、あるいは国家安全保障上の懸念などが挙げられる。しかし、実際には軽微な違反や過去の記録に対する再評価、理由不明の処分も多く発生している。
一部の学生は、資格喪失の決定に対して異議を申し立て、訴訟を通じて法的救済を求めている。最近では、複数の連邦裁判所が仮処分を認め、ダートマス大学およびモンタナ州立大学の学生に対して一時的な身分回復が認められた。
さらに、卒業後にOPT制度を活用して就労している元留学生にも、今回のビザ取消が波及している。現在、約24万人の外国人がOPT制度の下でアメリカ国内で働いており、その中には研究生や学部生も多数含まれる。
こうした状況の中、多くの学生が将来への不安を抱えつつ、大学や弁護士と連携しながら身分回復や法的対応を模索している。
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