インド政府は4月21日、中国からの安価な鉄鋼製品の急増を受け、一部の輸入鉄鋼に12%のセーフガード関税を課すと発表した。国内の鉄鋼産業を保護し、公正な競争環境を確保することが狙いで、措置は4月22日から200日間の暫定措置として実施される。
このセーフガードは4月22日から適用され、200日間の暫定措置として運用される。ただし、期間中に変更・撤回される可能性もある。
インドのクマラスワミ鉄鋼相は、「この措置は、特に中小の鉄鋼メーカーにとって重要な支援策となる。輸入増加による圧力から国内産業を守るために必要だ」と説明している。
インド政府は、中国からの安価な鋼材のダンピングが国内産業に損害を与えているとして、2024年12月から調査を開始していた。
インド貿易救済総局(DGTR)によると、「非合金鋼および合金鋼の圧延製品」の輸入が急増しており、国内の製造業者が深刻な影響を受けているという。
同局は3月に発表した文書の中で、「このままでは回復困難な損害が生じる恐れがある」とし、緊急の暫定措置を取る必要性を指摘していた。
今回の措置により、インドは実質的に中国からの鉄鋼輸入を制限する方針を明確にした形となる。
インドは世界第2位の粗鋼生産国であるが、2024〜2025年度も成品鋼の純輸入国となる見通しで、輸入量は過去9年で最多の950万トンに達するとされる。2024年度においては、中国は韓国に次ぐインドへの鋼材輸出国となっている。
今回の関税導入は、アメリカのヴァンス副大統領の訪印と時期が重なった。ヴァンス氏は現在、4日間の日程でインドを訪問中であり、モディ首相との間で二国間の経済・安全保障協力をめぐる会談が行われている。インド政府の発表によれば、両国間の貿易協定交渉は「大きな進展が期待される段階に入った」という。
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